珠洲の焼酎、震災後初出荷 日本醗酵化成
能登半島地震で被災した奥能登の酒造会社が少しずつ復興の歩みを進めている。珠洲市にある石川県内唯一の焼酎専門メーカーは25日、地震後に瓶詰めした「能登焼酎」を初めて出荷。能登町の老舗酒造会社は、半壊した酒蔵から採取した酵母で日本酒を仕込む準備に入った。日本の酒造りが国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録される見通しとなって関心を集める中、地震からの再起を図る。 創業77年の焼酎専業メーカー「日本醗酵(はっこう)化成」(珠洲市野々江町)では、ラベル貼りや箱詰めを済ませた主力商品「虎の涙」と「ちょんがりぶし」計約千本を、県内の酒販店などへ発送した。年内に約5千本を出荷する予定だ。 同社では昨年5月の奥能登地震で蒸留器が壊れ、さらに元日の激しい揺れで、蒸留所にある約200本の貯蔵タンクが傾き、製造、出荷ができなくなった。県内外からの資金援助や、駆け付けたボランティアの支援もあり、出荷設備の修繕が10月末までに終わった。 同社取締役の藤野裕子さん(46)は「復旧へ希望が見えた。待っていたお客さんにようやく届けられる」と喜んだ。