為替は特定の水準ではなく、ボラティリティーを注視-三村財務官
(ブルームバーグ): 三村淳財務官は7日、為替相場の動向に関して、特定の水準を念頭に置いているわけではなく、ボラティリティーを見ていると語った。その上で、ファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが望ましいと述べた。
都内で開催された日経ビジネス(日経BP)のイベントで質問に答えた。三村財務官は、ボラティリティ-が大きければヘッジもできず、国際展開する企業にとってビジネスがやりにくいと指摘。投資計画も立てづらいなど、予見可能性を高めることが求められていると語った。
三村氏は、3年にわたり財務省の国際部門を率いた神田真人氏の後任として7月31日付で財務官に就任した。2022年9月に24年ぶりとなる円買い介入を指揮した神田氏は、歴史的な円安局面でたびたびメディアを通じて市場をけん制した。三村氏がどのようなスタイルで市場とコミュニケーションを図るのか関心が高い。
為替介入について問われた三村氏は、介入は重要な通貨当局の政策の一環であり、主要7カ国(G7)や20カ国・地域(G20)の合意の下、基本的な考え方は変わらないと説明。もっとも、情報発信の手法については従来と必ずしも同じではないかもしれないと述べた。
パニックになってはならない
日本銀行が7月会合で追加利上げを決定して以降、米国景気の減速懸念も加わり、市場は乱高下した。5日の円相場は一時1ドル=141円台の円高水準に上昇し、日経平均株価の下げ幅は過去最大を更新。翌6日にはその反動で一時3400円の上げ幅を記録し、為替も一時146円台まで円安に振れた。市場の混乱を受けて日銀、財務省、金融庁は同日、三者会合を開き、政府・日銀が緊密な連携を確認した。
足元の市場の急変動について三村財務官は、われわれがパニックになってはならず、冷静に何が起きているのかを見極める必要があると指摘。日本の経済ファンダメンタルズは緩やかな成長に向かっているとの認識の下、それをしっかり伸ばしていく経済財政運営に努めると語った。