『サ道』作者・タナカカツキ「疲れやすい社会に一石を投じたい」。忙しすぎる現代人に勧める“4時起き8時間タスク”とは?【インタビュー】
■ただ休むのはかえって「脳の疲労」にもつながる
――作中では、本業のタスクで「あと1コマ」で漫画のページを描き終わるとしても、20分きっちりで次のタスクへと進むのが意外でした。残りわずかであれば、描き切りたいと思ってしまいそうで…。 タナカ:20分ごとのタスクで、何もかも思ったとおりにこなすのが理想なんですけどね。ただ、実際はそう上手くいかないじゃないですか。一つに固執して「何がなんでも終わらせる」となるとくたびれてしまうし、私の目的は集中して作品を量産することなので、無理をすると意欲がそがれてしまうんです。むしろ、あと1コマを残して次の日に持ち越した方が、翌日が楽しくなります。
――タスクには仕事だけではなく「庭いじり」などの余暇も、取り入れています。 タナカ:何もしないのは難しく、脳の疲労にもつながるそうで休憩にならないんです。私にとっての庭いじりは心を静める瞑想の代わりで、五感で気温や風、草花の香りをかみしめています。すべてのタスクに集中する時間では、スマホもまったく見ませんね。社会とつながるのは、午後の「定休日」からと割り切っています。
――タスクは紙のノートに書いて、整理されているそうですね。 タナカ:ノートに書いてタスクの時間が終わったら、チェックしています。昔は、タスクを書いた付せんをパソコンの隅に貼って終わったらはがしたり、ノートに書いた内容に横線をシャッと引いたり、試行錯誤はありました。何冊溜まっているか分かりませんが、たまに、過去のノートも見返しますね。8年前、20分間で2回しかできなかったけんすいを、今では18回もできるようになって、自分の成長を感じられました。友人に聞くとタスク管理の方法もそれぞれで、スマホで整理している人もいます。 ――便利そうですが、タナカ先生はスマホを活用されないんでしょうか? タナカ:本業のコンテンツ作りではパソコンでの作業が多いし、今のところは、タスクに集中する時間は電子機器から離れたいと思っているんです。タスク内で調べ物をしても深入りせず、本題と離れて興味があることにふれたときはいったんメモして、別の日にそのテーマを調べる時間を設けます。
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