佐津川愛美、清純派から一転…転機になった“陰キャ役”。長時間におよぶ壮絶なお風呂シーンでは「具合が悪くなって(笑)」
メガネに髪ボサボサの陰キャラに
2007年、佐津川さんは映画『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』に出演。これは、女優を目指して上京したもののまったく芽が出ない自意識過剰のワガママ勘違い女・澄伽(佐藤江梨子)の帰省をきっかけに巻き起こる騒動を描いた映画。佐津川さんは、かつて澄伽の恥ずかしい秘密を漫画に描いて暴露してしまったために澄伽から壮絶ないびりを受ける根暗な陰キャラの妹・清深役を演じた。 「この映画は、高3の夏休みに撮っていました。コタツがあるところにみんなで一緒にいたのですが、永瀬(正敏)さん、永作(博美)さん、佐藤(江梨子)さん、皆さんが夏休みの宿題を手伝ってくれました(笑)」 ――映画の中では佐藤さん演じる姉・澄伽から執拗にいじめられていましたが、撮影はいかがでした? 「とても楽しかったです。『蝉しぐれ』から『腑抜け』までの2年間で出演させていただいた作品は清純派系の役が多かったんですが、『腑抜け』で初めて暗くて髪もボサボサで眼鏡をかけて…という役をやらせていただいて、とても楽しかったです。『腑抜け』からですね、癖のある役とか、個性的な役とか、いろんな役をいただくようになったのは。 『腑抜け』がきっかけで、幸せになれない役とか、そういうキャラクター性のある役のお話をいただくようになったのが、2回目の転機だったと思います。最初に『蝉しぐれ』があって…早いですね(笑)。 でも、『腑抜け』でそういうカラーがついたことが、ある種強味になったのかなと。清純派の役柄が多かったなかでは、早い段階で癖のある役をやらせていただいて、そういう役がたくさんもらえるようになったので、すごくラッキーだったと思います」 ――『蝉しぐれ』の可憐な可愛い少女が突然イメージチェンジで心の中に毒がある役に…インパクトがありました。 「ありがとうございます。うれしいです」 ――佐藤江梨子さん演じる姉に、引き倒されたり、髪の毛を引っ張られたり…結構ひどい目にあわされていましたね。 「私の裸の写真を撮るために湯舟から出そうとして熱湯を入れられるお風呂のシーンも大変で、のぼせちゃった記憶があります。湯気は足しているんですが、長時間の撮影になるので、お湯に浸かりすぎて具合が悪くなっていました(笑)」 ――この映画で佐津川さんは、ブルーリボン賞助演女優賞と新人賞にノミネートされました。 「ありがたいですね。でも、このときも実感はなく、そのまま今に至ります。たくさんの方に見ていただけたのならうれしいなと思います」 個性的なキャラにも果敢に挑む佐津川さんは圧倒的な存在感を放ち、映画『鈍獣』(細野ひで晃監督)で腹黒いブリッ子キャラ、映画『悪夢のエレベーター』(堀部圭亮監督)では自殺願望をもったゴスロリ少女を演じた。 次回はその撮影エピソード、『最後から二番目の恋』、映画『ヒメアノ~ル』(吉田恵輔監督)の撮影についても紹介。(津島令子) ヘアメイク:杉村理恵子 スタイリスト:稲葉江梨