水上ドローンで橋を点検 長野県安曇野市と早大が試験公開
長野県安曇野市は早稲田大学理工学術院・佐藤靖彦研究室と共同で、水上ドローンを使った小規模な橋の点検診断システムの開発に取り組んでいる。令和4年10月の開始から2年たち、現場で活用できるめどが立ったことから、2日に穂高の矢原堰で公開試験を行った。市は本年度から試験的に導入し、3~4年後には実用化を見据える。 市内には5年に1度の点検が義務付けられている長さ2メートル以上の橋が756橋ある。9割以上が用水路に架かる小規模橋で、数が多い上に橋の下側が狭かったり橋長が短かったりして人や点検車が入りづらく、点検に手間がかかるという。 水上ドローンによる点検診断システムの導入によって、河川ごとに一度で複数の橋を点検でき、AI(人工知能)による画像診断で損傷の有無が地図上で可視化できる。人が現地で見るべき橋が絞り込めることから、コスト縮減や省力化などが期待されている。 開発したドローンは高さ50センチ、幅75センチ、奥行き75センチ。船体下部にスクリューがあるモデルだと藻が絡まって動作不能になるため、プロペラを動力とするモデルにした。手元のコントローラーで映像を見ながらの操作が可能で、GPS(衛星利用測位システム)による自律航行もできる。同研究室は「試作を繰り返して到達した最終形態」とする。市維持管理課は「自治体の技術者不足を解消するような技術になれば」と期待する。佐藤教授は安曇野で研究開発した"安曇野モデル"だとし「市の点検の中で使ってデータを蓄積し、問題点や改良点を出し尽くした上で違う自治体向けにもカスタマイズしていければ」と展望する。
市民タイムス