四番=長嶋茂雄さんのイメージです。試合を決める重要な打順なのです【デーブ大久保 さあ、話しましょう!】
この号の週刊ベースボールの発売が1月31日。翌日にはキャンプインという日です。何の話をしようかと考えていたのですが、歴代ベストナインの特集をするということを聞きました。そこでデーブ的な考えをお話ししたいなと思います。 【選手データ】長嶋茂雄 プロフィール・通算成績 ベストナインとなると難しいので、テーマを「四番」に絞っていこうと思います。デーブが考える理想の四番というと、長嶋茂雄(巨人終身名誉監督)さんと答えます。小さいころから巨人の大ファンで、自分の体の中には「G」の血が流れていると思っている人間です。 実は長嶋さんの全盛期というのは、私の中であまり記憶がないのです。それでも「四番=長嶋茂雄」という感覚が身についているのです。そう、当時の巨人には、もうひとかた、世界のホームラン王、王貞治(ソフトバンク会長)さんがいらっしゃいます。でも、私の中で王さんは三番打者のイメージが強いんです。 長嶋さんが現役を引退されたあとから野球を見始めた、プレーを始めた50代前くらいの方々は、王さんに四番のイメージが強いのかな、とは思います。50代半ば以降のファンは「四番=長嶋」というイメージがあるのかなと感じています。それと同時に野球界に入り、いろいろな方のお話を聞いていく中でも、私の中に「四番=長嶋」という印象はさらに強く植え付けられましたね。 実際に現役時代に、西武ではキヨ(清原和博)、巨人に移籍してからは、原(原辰徳)さん、落合(落合博満)さんという四番を間近で見てきましたが、それでも長嶋さんの印象は非常に強いんです。 以前に原さんは、四番とは「大きな波も、小さな波もすべてのことを受け入れる打者」だということを話していました。負けはすべて自分の責任と受け止める。そして、勝敗に一喜一憂しない。原さん自身も長嶋さん、王さんの後を受けて、四番となり、さまざまな批判を受けてきましたが、一切言い訳をしなかった。それはやはり長嶋さんにも通じるものがあったと思いますし、そういう話を諸先輩方から聞きました。 捕手目線から見て四番に打たれるのは、非常に厳しいものがあります。下位打線に打たれる2ランと、四番に打たれる2ランでは、同じ点数でも重みが違うからです。バッテリーは、四番に打たれると試合の流れが変わるということで、全力で抑えにいくので、そこで打たれたらがっかりするのです。それくらい四番は相手に与えるダメージが大きい。だからこそ「四番」と言われるゆえんなのです。 メジャーでは二番最強説と言われることもありますが、それでもデーブ的には、いまでも「四番」が打線の大黒柱であり、勝負の行方を決める存在だと思っています。和真(岡本和真=巨人)にしても、同郷の後輩・大山(大山悠輔=阪神)にしても、そういう資質は十分に持っています。今季の彼らの活躍も楽しみです。 『週刊ベースボール』2024年2月12&19日号(1月31日発売)より
週刊ベースボール