宇宙人の落とし物!?物体をレコードに変えてしまう不思議なピストルと出会い、自らのネガティブな部分に気づく【作者に聞く】
ある日、少年が不思議なピストルを拾った。木に向けて撃ってみると、光が出て、物がレコードに変わった。石、掃除機、突っ張り棒、さまざまな物をレコードに変化させ、音を聞くことができる。はじめは楽しいおもちゃだったのに「人間をレコードにしてみたら?」そんなネガティブな面が生まれて――。猪原秀陽(@inoharahideharu)さんの創作漫画「不思議なピストル」を紹介するとともに着想や制作秘話を聞いた。 【漫画】本編を読む ■人間の善悪が見え隠れする!?不思議なピストルと出会い 「不思議なピストル」が生まれたきっかけについて、音楽を漫画で表現するときに、どんな曲かを言葉で具体的に説明せず、読者に想像させるような表現をしてみたいと思ったのが始まりだそう。また、猪原さんは別のものを通して「変換」や「翻訳」するというようなことに興味を持っており、その延長で物が音楽に変換・翻訳されたらどんな曲になるだろうか?と思いストーリーを作り始めたそうだ。 本作は「昭和を愛する現代の人」というおじさんの人物像にこだわって描いており、人間誰しもネガティブな部分を持っているということを肯定的に描きたかったという。その意図が漫画を通して伝わったらうれしいと猪原さんは語る。 また、作中に出てきた宇宙人については、裏設定があるという。長年地球を調査・研究しており、地球上のありとあらゆる物を収集し、音や空気の振動の技術を進歩させてきた種族で、地球の音楽はけっこう好き。物質をもっと効率よくコンパクトにデータ化する技術を持っているが、地球のレコード文化に愛着を持っており、遊び心でレコードを模して地球の物をアーカイブ化している。宇宙人たちはレコードの音楽を聞いて、その物の情報を読み取る。地球人もその音楽を聞いて、なんとなく感覚的にその物をイメージできる…という興味深い設定だ。 シュールな世界観に引き込まれ、なんだか考えさせられる深い作品になっている本作。ぜひ本編をご覧あれ。 取材協力:猪原秀陽(@inoharahideharu)