寝たきり社長の働き方改革(10)人はなぜ、1日8時間も働くのだろう?
人はなぜ、1日8時間も働くのだろう……。時々、筆者はそんなことを考える。 技術革新が進んだ現代社会。働き方だって、昔に比べて随分と変わってきた。高度経済成長時代のように、自分の人生を捨ててまで働く時代ではないのに、筆者の周りの会社では、いまだに一律「8時間労働」を徹底している。 寝たきり社長の働き方改革(9)在宅勤務率100%の会社を紹介しよう 筆者が経営する「仙拓」は、前回書いたとおり、100%在宅勤務だし、そして働く時間は「全員自由」だ。つまり、フレックスタイム制である。筆者のような役員はもちろんのこと、ほかのスタッフも働く時間を自分で自由に決められる。なぜなら、筆者自身が体力的に8時間労働が難しいし、そもそも「みんなが8時間労働をしているから私も!」という考え方がイヤだからである(笑)。 加えて、仙拓で働くスタッフは“ワケあり”の社員が多い。重度の身体障がいを抱えている社員もいれば、身体ではなく、ココロに障がいを抱えている社員もいる。ほかにも、「子どもの世話や家事を優先したい」という主婦の社員もいる。 「もし、仙拓が存在しなければ、私は一生働くことができませんでした」とまで言ってくれる社員もいるのだが、筆者はこのありがたい言葉を、手放しで喜ぶことができなかった。 世の中には一体どれだけの人が「社員は会社に通うのが当たり前」だとか「社員は一律8時間労働が当たり前」だとか思い込んでいるのか。そんな昔ながらの“当たり前ルール”に縛られているせいで、高い能力やスキルのある人材が「就職難民」となり、彼らを社会がすくい上げられていないのだとするならば、本当にもったいない社会的な損失である。 働くことは大事だ。でも、人生は働くことだけがすべてではない。家事や育児といった生活も大事だし、余暇やプライベートだって大事。より豊かな人生を送る秘訣はバランスだと筆者は考えている。 会社も同じだ。今あるルールで縛るのではなく、社員一人ひとりに「選択権」を与えればいい。フレックスタイム制を導入すれば、働く時間を社員が自分で自由に設定できる。そして、ペース配分を自分で行うことができる。もちろん、たくさん働きたい人はたくさん働けばいいし、会社に通って仕事がしたい人は会社に通って働けばいいのだ。 仙拓という会社は常に工夫する会社だ。「寝たきり社長」を自任する筆者ではあるが、良いと思っことは即座に導入する。少しでも不便だと思えばすぐにやり方を変える。 スマホやパソコンだけじゃない。会社だって常にアップデートしていく必要があるのだ。