松山優勝とタイガーの新章~気になる今後とロゴマークの行方
2月18日に終了したゴルフの米男子PGAツアー、ジェネシス招待は日米のスターが話題を振りまき、何かと印象深く、示唆に富んだ大会となった。松山英樹のアジア勢単独最多となる通算9勝目。そしてタイガー・ウッズ(米国)が右足首の手術を経て10カ月ぶりのツアー復帰を果たした。ただ、こちらは残念ながらインフルエンザで途中棄権に終わった。最近はプレー以外での役回りが目立つ元世界ランキング1位の48歳。自身のビジネスにも影響を及ぼしかねない事情があり、今後の競技人生の行方が気になってくるところだ。
先人たちが語る大切なものを象徴
開催コースは2028年ロサンゼルス五輪の会場になる米西海岸の名門、カリフォルニア州リビエラCC。舞台は整っていた。ウッズは第1ラウンドを72で回り、70人中49位で滑り出した。関係者によると、その夜から風邪のような症状があり、第2ラウンドの朝になると発熱。スタート後には目まいも覚え、7ホール目のティーショットを打った後で棄権した。自身のホスト大会を途中でやめるということは、耐え難い状態だったと想像できる。 ウッズとは対照的に、松山はそう快なラウンドで圧巻の2年ぶりの優勝劇を演じた。昨季は首などの痛みに悩まされて未勝利で、トップ10入りも2度だけだった。しかし今年は回復。首位に6打差で出た最終ラウンドは9バーディー、ボギーなしと完璧な内容だった。リビエラでの最終ラウンド最少記録となる62と爆発し、2位に3打差をつけて制した。今回は出場人数が絞られたステータスの高い大会の一つで、破格の400万㌦(約6億円)の優勝賞金を手にした。ホストのウッズは最終日には不在で「一緒に写真を撮りたかったけど、まあ残念でしたね」。ほほ笑みながら優勝の余韻に浸った。 両者の姿を見るにつけ、ゴルフの先人たちが口にしてきた言葉が想起された。日本ではスポーツなどに取り組む際に大切な姿勢について、精神性を重んじて「心技体」のフレーズが人口に膾炙している。しかし、ゴルフで世界を相手に戦ってきた強豪たちは「体技心」と口をそろえる。日本男子初のPGAツアー優勝を飾った青木功は以前、次のように語っていた。「まず体力がなければしっかりした技術は身に付かないし、意欲も湧いてこないだろう。大事なのは体技心の順」。日本ツアー最多の94勝を誇る尾崎将司も同様の見解を示す。世界基準では体格で劣るとされる日本選手。海外勢と相まみえる中で力を発揮するには、身体の充実が何より重要だと説いている。ジェネシスでの2人の結果は、この格言を象徴していた。