松山優勝とタイガーの新章~気になる今後とロゴマークの行方
残された偉業と虎のマーク
選手として、ウッズがまだ到達していない代表的な歴代記録に、メジャー優勝回数がある。最多は〝帝王〟ジャック・ニクラウ ス(米国)の通算18勝。ウッズは15勝で、最後のメジャー制覇は2019年のマスターズだ。けがや加齢により、達成が徐々に困難になってきている様相だが、本人は次のように語る。「かつてのようなスピードでクラブを振ったり、練習量をこなしたりすることはできないが、しっかりとフェースの真ん中で球を打つことはできる。体も日を追うごとに新しい感覚を手に入れている」と前向きさを失っていない。 メジャーを制覇する回数はひょっとすると「サンデーレッド」のロゴマークの虎に影響を及ぼすかもしれない。現在のデザインには、メジャー15勝にちなんで15本のストライプがあしらわれている。今後、新たなメジャー優勝が加わった場合にどうするのかと問われると、ウッズは笑顔で次のように答えた。「マークをつくり直さなきゃいけなくなるね」。 四つあるメジャーで、現実的に一番優勝を狙えそうなのはマスターズだろう。メジャーで唯一、開催コースが変わらず、毎年4月にジョージア州のオーガスタ・ナショナルGCで行われている。ガラスと形容される高速グリーンやコース形状など、蓄積されたデータはスコアメークの上で極めて有用。ウッズは過去5度の大会制覇を重ねている。メジャー最年長優勝記録は、かつての好敵手で今ではLIVゴルフに参加しているフィル・ミケルソン(米国)が持っており、3年前の全米プロ選手権を50歳で制した。ウッズは2025年12月30日に50歳の誕生日を迎える。状況を鑑みると、これまで数々のミラクルを起こしてきたウッズだけに、健康を損なわない限り望みはありそうだ。体調が戻った松山の活躍とともに、まずは4月11日開幕の〝ゴルフの祭典〟マスターズに世界中から熱い視線が注がれる。
高村収