ミスト噴霧や遮熱性舗装など 2020東京五輪の暑さ対策
開催期間中の猛暑が懸念される2020年の東京五輪・パラリンピック大会に向けて、東京都や大会組織委員会、国は、選手や観客の暑さ対策を検討してきました。実際に競技が行われるコース・会場を使ったテストイベントでは、暑さ対策を実際に試して効果の検証も行っています。どのような対策が検討されているのかをまとめました。
「ハード面」だけでなく「ソフト面」の対策も
2016年12月から本体工事を開始した新国立競技場には、競技場外部から自然の風を取り込む「風の大庇(おおびさし)」と「風のテラス」があります。観客席やフィールドにたまった熱や湿気を、競技場の上部に排出する効果を狙ったものです。また、観客席での体感温度を下げる「気流創出ファン」、入場ゲート付近など競技場周辺の温度を下げる「ミスト冷却装置」、エアコンを備えた観客のための休憩室などの設置も進めています。 バレーボール会場の有明アリーナなど、東京都が新設する会場では、建物の屋上・壁面を緑化したり、観客が利用するエリアに遮熱性舗装をほどこしたり、観客席に屋根を設置するなどの対策のほか、会場周辺の樹木をできる限り保存して木かげを確保しようとしています。なお、組織委が整備する仮設会場の観客席や運営用プレハブ・テント、競技スペース(オーバーレイ)については、観客向けのテントや大型冷風機の設置を検討しているといいます。カヌーのテストイベントでは観客向けに人工雪を降らせる実験も行いました。 問題となっているマラソンについてですが、東京都はコースを含む都道累計約136キロに、路面温度の上昇を抑える遮熱性舗装や保水性舗装をする計画を立て、2018年度末までに約129キロの整備を終えました。なお国道については、国土交通省が2018年度末までに約2.9キロメートルを整備済みです。東京都は、これによって路面温度を最大8~10度下げる効果があるとしていますが、体感温度を下げる効果がどの程度あるのかについては、疑問の声も上がっているようです。 東京都が行った対策は「ハード面」だけではありません。身体を冷やすグッズを配布する「ソフト面」の対策も試しました。たとえば、9月15日に行われた男女マラソン代表を決めるマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)では、手回しファンや首を冷やすネッククーラー、かちわり氷、紙製サンバイザー、瞬間冷却保冷剤、メガホンうちわを沿道の観客に配りました。