宮城・南三陸町長が記者会見(全文2・質疑)南三陸町、将来の夢について
高台移転の遅れた原因は相続登記の問題
司会:Anybody else? 文化放送:日本のラジオ局で文化放送のイシモリと申します。南三陸のほうではよく取材をさせていただいている者なんですが、仮設住宅から高台への移転の時期について、被災者によって1年以上の格差が出てきてます。町で取材をしていますと、その1年以上の間にオリンピックなどの影響で、建設コストが上がってそのまま経済格差につながってるという指摘があります。この点について町はどういう対策を考えているのかということを1つ、お伺いしたいと思います。 もう1ついいでしょうか。もう1つは、町役場の担当者の方に聞くと、高台移転の遅れなどの理由としてはマンパワー不足が挙げられるというふうに聞きました。本来、住宅を造る仕事ではない人も、建設会社の人も参加してる関係で、歌津のほうではカビが大量発生という事例もあったと聞きます。この対応をどう考えていらっしゃるかということを聞きたい。 ごめんなさい。もう1つだけ聞かせてください。もし南三陸に今後、希望や夢があるとしたらなんでしょうか。以上です。 佐藤:じゃあ順番にお答えをさせていただきます。1点目の仮設住宅から本設へ移るということの時間的なタイムラグって言うんですか。ある意味、うちの町でいま、高台移転の造成工事しているのは28団地を造っております。で、20団地はもうすでに完成をしておりまして、ほとんどの団地はもうこの3月で終了ということになってまいります。残るのは志津川という一番大きい地区、地域なんですが、ここの3団地が、これがいま、急ピッチで造成工事中です。ですから、そこにお入りをなる方々が、あっちはもうすでに1年前に入ったのに私、遅れてるよねっていう話というのは、これはね、ある意味我慢をしていただくしかないんです。やっぱり基本的には土量を動かすわけですので、それ相応の土量を動かすにはそれ相応の日程が、時間がかかってしまう。これはね、ある意味やむを得ない。これは災害の厳しさだと、私は思っております。 2点目ですけど、カビ対策と、それからカビの問題と、それから住宅の建設はこれ、分けたほうがいいと思っています。カビは完全に施工業者のミスです。従いましてもうその間の、カビが生えてそれから完全に工事が、修繕工事終わるまでその間の家賃はもちろんいただきませんし、その業者からわれわれはその家賃、いただきました。完全にミス工事です。で、ここをまずどうぞ。 ここは本質的なとこだと思っているんですけどね、高台移転のいわゆる住宅の建設の関係でマンパワー不足ということを、ちょっとお話、ありましたよね。そのマンパワー不足の以前に、私、この話っていうのはほとんどこれ、表に出ない話なんです。で、私もあんまり町民の皆さんに言うと、それは町の仕事だよねっていう、一笑に付されるんで、私はあえてあまり言わないんですけど、基本的にはね、これが非常に高台移転のいわゆるスピードを大きく遅らせた原因の1つが、いま、ちょっとお話しします。 遅れた、高台移転の遅れた原因のもう、根っこの根っこは相続登記の問題だと思ってるんです。これね、いわゆる昔の土地を、いわゆる下のかさ上げを、かさ上げた低地の部分。そっちの部分の買い上げ、それから高台移転をしなきゃいけないんで、そちらの山、山林を買って造成工事をしなきゃない。で、両方の土地の売買って出てくるんですよ。そのときに、われわれもう、本当に大きな壁にぶち当たったのは、相続登記をしてない土地がずいぶんあったっていうことです。簡単なことを言うと、おじいさんの名義になって、もうこの方は亡くなってる。で、その下に今度は息子さん、娘さんの権利者がいる。で、その下に今度はお孫さんたちの権利者がずっと張り付いてると。そうすると、日本の法律上っていいますか、ご承知のように全員、権利者の了解をもらわなきゃないんですよ。これが全国に散ってる。 で、もう一番っていう言い方は大変あれ。1筆で七十何人という方々がいらっしゃるんですよ。そうするとたった100坪ぐらいの土地とか、200坪の土地に70人の権利者がいて、それを全員からはんこをもらわなきゃない。これはね、大変な時間掛かりました。ですから。いいですか、もうちょっとだけ。 ですからね、実際にその前提の、相続登記のはんこをもらうっていうその仕事終わってからの、土を動かすのなんて、もう圧倒的に早かったですよ。いま、5年なってまだかさ上げ工事やってますけど、基本的に1年半前、2年、1年半前ですかね。1年半前はほとんど低地部分のかさ上げしてなかったですから。もう、1年半たってもほとんどもう、10メーターのかさ上げ。ずっと進んできてるっていう。 ですから、工事に入ると早いんですが、入るまでのその前段の部分が非常に大苦戦をしたという。たぶんこれはどこでこう、同じ災害があって、こういう同じような工事をしても同じことが起きると思います。