Bリーグ香川のパワハラ暴力事件発覚と処分はなぜ1年以上も遅れたのか?
「クリーンバスケット」を掲げ「インテグリティ委員会」を立ち上げたばかりで、「絶対に暴力を許さないという姿勢が呼びこんだ告発ではなかったか」と大河チェアマンが言う。 Bリーグのクラブの案件で、しかも、昨年一度告発があった香川の暴力行為だったため、すぐさまリーグとして本格的な調査に乗り出し、選手全員、マネージャークラス、社長など、10数人に弁護士立ち合いの上でヒアリングを行い被害者を特定してパワハラの事実関係を認定した。 7月には衛藤ヘッド、村上社長、津田エグゼクティブコーチの3人に弁明の機会を与え、事案の最終確認を行ったところ、それぞれが事実を認めたため、裁定委員会の答申をもって今回の処分を決定した。 衛藤ヘッドは、住吉高校―金沢大出身で、2006年の金沢大のヘッドコーチから指導者人生をスタート。米国独立リーグでの指導者経験もあり、bjリーグの富山、奈良などでヘッドコーチを務め、2017年7月から香川のヘッドコーチに就任している。 1年前に杜撰な内部調査しかせず、薄々、パワハラ行為を把握しながら、黙認していた村上社長、津田エグゼクティブコーチらには厳しく管理責任も問うた。 「(最初の段階で)もっと徹底してヒアリングすべきだったが、ことなかれ主義というか、放置した責任は重たい」と大河チェアマン。また衛藤ヘッドの暴力、パワハラ行為を知りながらも契約を更新していたことに対しても「普通では考えられない。腹立たしい」と怒りを隠さなかった。さらに「クリーンバスケットをかかげている精神に反する残念なこと」としたが、衛藤コーチへのペナルティは全職務停止1年という程度にとどまった。 内部調査をきっかけに暴力はなくなったことと、弁明の機会を与えた際に反省の態度を示すなどしたことから、裁定委員会が情状酌量したようだが、大河チェアマンは「暴行罪に値するもので無期限停止でもおかしくなかった。重い軽いに議論はあると思う」とした。 衛藤ヘッドは、すでにチームに辞任を申し入れ承諾されたというが、今後、このような問題を再発させないための抑止力としては「1年間の全職務停止」は処分として軽すぎただろう。 また香川の内部調査にだけ任せたため、問題の発覚と処分が1年以上も遅れた責任の一端は、Bリーグにもある。もちろん嘘をついた方に問題はあるが、その時点で嘘を見破る環境をBリーグ側が整えておかなかったことや、独自調査を進めなかったのも杜撰だ。 さらに重要なのは今後の再発防止だろう。