阪神水道企業団主査を逮捕 浄水場内の工事入札巡り収賄疑い 兵庫県警
阪神水道企業団(神戸市東灘区)発注の浄水場の補修工事を巡り、業者に便宜を図った見返りに現金を受け取ったとして、兵庫県警捜査2課は13日、収賄の疑いで、猪名川浄水場管理事務所の主査の男(46)=神戸市垂水区=を、贈賄の疑いで、土木工事会社「金山組」(尼崎市)役員の男(52)=尼崎市=を逮捕した。 【写真】見返りはヴィトンや高級焼き肉、電話のたび「金もらえる」 若手公務員、誘惑に負けて重ねた情報漏えい 同課は「共犯事件で捜査に支障がある」として、2人の認否を明らかにしていない。 主査の男の逮捕容疑は、9月下旬ごろ、企業団が発注した浄水場の補修工事の入札を巡り、金山組が受注できるように便宜を図った見返りに、金山組役員の男から現金20万円を受け取った疑い。 同課などによると、逮捕容疑となった工事は、尼崎浄水場(同)内のアスファルト舗装を補修するもので、9月初旬、条件付きの一般競争入札を実施。参加5社のうち、4社は500万円台の金額で申し込み、入札下限額に当たる「最低制限価格」(626万9千円)を下回って失格となったが、金山組だけが上回る金額で落札したという。 主査の男は、2022年10月に本庁の工務課から猪名川浄水場管理事務所に異動。工事の設計や監督などを担い、尼崎浄水場の補修工事では入札の実質的な担当者だった。捜査関係者によると、金山組役員の男に入札情報を漏らすなどした疑いが持たれている。 同課は、2人が知り合った経緯や関わった可能性がある他の工事の入札についても調べる。 職員の逮捕を受けて阪神水道企業団は13日夜、会見を開き、吉田延雄企業長らが「市民の皆さまの信頼を裏切り、大変申し訳ない」と謝罪した。説明によると、逮捕容疑となった工事は別の男性職員が設計したが、主査の男も上司として工事価格などの情報を知りうる立場だったという。 同企業団は、1936年に設立された特別地方公共団体で、神戸、尼崎、西宮、芦屋、宝塚の5市で構成。阪神地域での安定した給水を目的に水道事業を担っている。