スペインに舞い降りた日本人FW レアル戦で評価上昇…番記者が求める「チームの潤滑油」【現地発コラム】
浅野は「レギュラーの座を獲得している選手の1人」
現在レアル・ソシエダでプレーする久保建英が在籍した時代も含め、長年スペインのラジオ局「カデナ・セル」でマジョルカの番記者を務めるアルベルト・エルナンド氏に試合後、加入から1か月強が経過した浅野の印象について話してもらった。 「先発でラ・リーガデビューを飾ったが、すでにジャゴバ・アラサテのシステムにおいて、重要な選手の1人になっている。今夏のプレシーズンを通じて浅野は、縦への推進力や裏への抜け出し、そして得点力と、さまざまなものをチームに提供してきた。さらにパルマ市杯(8月10日)のボローニャ戦で私たちは、彼が素晴らしいテクニックを披露し、ゴラッソを決めるシーンを目撃した」 「ジャゴバ・アラサテがまだスタメンのパズルを完成させられていないなか、彼はレギュラーの座を獲得している選手の1人だ。少なくともプレシーズンやこの開幕戦でそのように感じさせるほど素晴らしいパフォーマンスを発揮してきた。また、今日の試合を振り返ると、前半はチームメイト同様、監督の求めるプレーを正確にこなしながらも控えめだったが、後半は素晴らしいプレーだったと言えるだろう」 アルベルト記者は浅野の開幕スタメンが妥当だと考えつつも、それを維持するためには継続性が必要なことを強調した。 「もちろん、ラ・リーガの厳しい戦い強いられるチームの中でスタメンの座をキープし続けるのは決して容易なことではない。そのためには、今日のような瞬きやフレッシュさを維持することが必要不可欠だ。また、チームの潤滑油となり、ムリキやチームメイトにアシストを供給し続けなければいけない。そして何よりも安定して試合に出続ける必要があるだろう」 レアルとの開幕戦でいきなり見せ場を作り、マジョルカサポーターのハートを掴みつつある浅野はこの後、8月24日にアラサテ監督の古巣オサスナとアウェーで対戦する。欧州王者相手に素晴らしい動きを見せていただけに、初得点を期待せずにはいられない。 [著者プロフィール] 高橋智行(たかはし・ともゆき)/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。
高橋智行 / Tomoyuki Takahashi