寛一郎、父・佐藤浩市は「目標ではなくライバル」 親子で「仕事以外の話はしません」
父・佐藤浩市とは関係良好「柔らかくなってきましたよ(笑)」
やっていきたいのは映画。祖父・三國連太郎さん、父・佐藤浩市(63)も歩んできた道だ。 「やる以上はたくさんのお客さんに見てもらいたいですし、映画には興行的な部分も大事です。ただ、僕が出たい、やりたいと思っているのは、時代を経ても残っていく映画です。この『プロミスト・ランド』もそうですけど、価値のある映画を作っていきたいし、僕自身もそれが見たいんです」 これまでの出演作品には大正を舞台に女相撲とアナキストの物語『菊とギロチン』、江戸時代のエコ社会と恋模様を描く『せかいのおきく』(23)など挑戦的な題材も多い。作品選びはどのようにしているのか。 「マネジャーと話し合って決めています。マネジャーのことは信頼していますし、僕が好きなものを分かっていますので、しっかりやりたい作品をやれているという感覚があります」 父・佐藤浩市との関係も良好。話題の中心は常に仕事なのだという。 「仕事以外の話はしませんね(笑)。そういう会話ができない家族なんです。映画の話、芝居の話が家族の会話っていう感じ。あの人も、好かれて嫌われてきた人間ですから、仕事する際に、どういうことを心がければいいのかとか、人としてのことは教わりました。自分がやったことは必ず返ってくるといった話もしてくれました。言葉でなくても、彼を見たら分かる部分もあります。昔から態度で教えてくれるという感じ。ただ、最近は丸くなったというか、柔らかくなってきましたよ(笑)。昔は一言もしゃべれないぐらい怖かったですから」と笑う。 三國と佐藤は『人間の約束』(86)、『美味しんぼ』(96)と数少ない共演しかなかったが、寛一郎と浩市は阪本順治監督の『一度も撃ってません』(20)『せかいのおきく』で2度の“共演”を果たしている。 「(父は)目標ではないけれど、ライバルではあるかもしれない。彼の目の黒いうちに闘っておきたいという気持ちはあります。僕は彼ではないし、彼にはなれない。自分の色を見つけていかないと思っています」と寛一郎。父との本格競演もそのうち見られるかもしれない。 □寛一郎(かんいちろう)1996年8月16日、東京都出身。2017年、『心が叫びたがってるんだ。』で映画初主演。『菊とギロチン』(18)ではキネマ旬報ベスト・テン新人男優賞など多数受賞する。22年には出演作『ホテルアイリス』『月の満ち欠け』が公開されたほか、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』に出演。さらに、23年には初舞台『カスパー』で主演を務めた。主な出演作は『チワワちゃん』(19)、『一度も撃ってません』(20)、『劇場』(20)、『泣く子はいねぇが』(20)、『AWAKE』(20)、『せかいのおきく』(23)。今後も『ナミビアの砂漠』(9月6日)、主演『シサム』(9月13日)、『グランメゾン・パリ』(冬)が控える。
平辻哲也