長塚京三「『課長の背中を見るのが好きなんです』のCMで《理想の上司》としてブレイク。軽井沢の別荘で学生時代に読んだ本を音読する時間が今は幸せ」
◆コロナで生活がガラッと変わって そして長塚さん最新の出演映画は、5月31日に公開となる『お終活 再春! 人生ラプソディ』。パリ暮らしの匂いのする洋画家の役で、高畑淳子、橋爪功、大村崑と共演。 人生百年時代と言われる今、生前整理だけでなく、残りの人生を楽しむことも「終活」という前向きな作品。長塚さんの「終活」は果たして……? ――僕は昔からね、流れ流れて、流されて(笑)、どうもそういうことにはちゃんと向き合っていないところがあるんです。でも実は、日々の生活そのものが終活とも言えるんですよね。 ちょうどコロナでいろいろなことがキャンセルになったなかでこの映画に出て、改めて勉強になりましたよ。人が一人亡くなると、お金も含めてこういうふうに物事が動くんだ、とか……。 そうだ。第3の転機はコロナですね。軽井沢の別荘で静かに過ごす時間がかなり多くなりました。ここだと時間の流れ方が違うんですよ。仕事に追われていると食事もただ栄養を摂るだけのようになりがちですが、ここだと夕方からテラスでゆっくり楽しむことができる。生活はガラッと変わりました。 読書は何十年も前に読んだものの再読が主です。学生時代に読んだ、表紙が色褪せた本を取り出したり、それこそフランス語の本を読んだり。 録音しながら音読することもあって、俳優としての修業半分、楽しみ半分ですけどね。自分の大好きな空気感の中で本を読みたかった。それができている今が一番幸せかもしれない。
これだけユニークな体験を重ねてきた長塚さん。この先、やってみたいことは? ――実を言えば映画のシナリオを一本書きたいんですよ。これが実際に映画になるかどうかは別として、そのための勉強はしてみたい。しかし僕が考えるようなことは、すでに撮られちゃっているかもしれないけど。 まあ、シナリオを書きたいというのは、今の僕の気持ちの収め方として言ってるだけかもしれないんだけどね。 いえいえ、きっと独特で、意外な長塚ワールドが繰り広げられるに違いありません。静かに期待しています。 (撮影=岡本隆史)
長塚京三,関容子
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