「どうやって直すか、直せるかどうかもわからない」国の名勝『白米千枚田』に関わってきた77歳男性...地震で妻と長男を亡くした今「千枚田が生きがいなので関わっていきたい」
程度の差はありますが、1004枚ある田んぼ、そのほとんどに亀裂が入っていました。 (出口彌祐さん)「これはひどいわ。思った以上にひどい。私も今初めて見たけど簡単には直せないですよ、これ。(Q地震以来ここに来るのは?)今日初めて」 千枚田に関わり18年になるという出口さん。この日初めて目にした光景に落胆を隠しきれません。 (出口彌祐さん)「(Q水をはろうとするとどうなる?)だめです。おそらく水が溜まらないです。この割れ目を全部直さないとだめです。(Q亀裂に水が入ってしまう?)そうです。これもう相当ひどいので、どうやって直すか、直せるかどうかもわからないですよ」
亡くなった妻と長男 遺体発見は地震発生から16日目
大切に守り続けてきた千枚田。出口さんはこの田んぼで共に米作りに励んでいた妻・正子さん(75)、そして長男・博文さん(49)を地震で亡くしました。 家族団らんで過ごすはずだった正月に変わり果ててしまった自宅。道路が寸断され、重機を使うことができず、捜索は難航しました。自宅にいた妻と長男、ようやくふたりの遺体が発見されたのは地震発生から16日目でした。
(出口彌祐さん)「苦しかったなというのが本音ですけどね。助けられなかったかとかいろんな感情がやっぱりあります。仕方ないですよね、諦めもしなきゃいけないだろうし」 毎年、正月は長男と次男が里帰りして家族4人で過ごしていましたが、自宅に妻と長男を残して市内のバス停まで次男を車で迎えに行った帰りに激しい揺れに襲われました。 (出口彌祐さん)「国道の海岸に近いところまで行ったんですわ。そしたら崖崩れが起きていて通れなくなった」
自宅へ続く国道は土砂で寸断。山道を歩いて自宅へと向かいました。すると…。 (出口彌祐さん)「いつも渋田町(山道)の方から行くとわたしの家が見えるんですけど、そこが山になって全然見えないんですよ。山で押しつぶされて屋根の一部が国道のところまでがーっと出てました。(Q奥さんと長男さんは?)そこらじゅう探してみたんだけど、そんな形跡全然ないし」