フリーランスを保護する新法「フリーランス新法」が施行、権利は守られる一方で新たな課題も…
TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤 Live Junction」(毎週月~金曜18:00~)。11月5日(火)の放送では、“フリーランス新法”について取り上げました。 ◆フリーランスを保護する新たな法律が施行 11月から新たな法律「フリーランス新法」が施行されました。これは組織に属さずに働く“フリーランス”を保護するための法律で、その対象となるのは、個人事業主や1人社長や1人親方と呼ばれる人の他、副業やパート・アルバイトの方も一部対象になることがあり、そうした方々が企業などから業務委託を受けた際に適用されます。 その内容としては、発注事業者に新たに義務が7つ発生します。まずは、業務内容や報酬について口頭のみで伝えるのはNGで書面やメールで明示すること、加えて業務完了から60日以内に報酬を支払うことが規定されました。 そして、1ヵ月以上の業務委託をした場合は、報酬を不当に低くする買い叩きや不当な内容での変更ややり直しなど7つの禁止行為が定められ、6ヵ月以上の業務委託に関しては、育児や介護などと業務を両立できるように、フリーランスの申し出に応じて必要な配慮をすることなどが義務付けられました。 これらを公正取引委員会が調査し、違反を認定した場合は、事業者側に勧告や命令を出し、事業者名が公表。命令に従わない場合は50万円以下の罰金が課されるということです。 キャスターの堀潤は、人手不足が叫ばれるなか、従わない場合には事業者名を世間に公表するということをポイントとして挙げます。 経済アナリストの馬渕磨理子さんは「事前に書面やメールで明示することで(記録に)残るので未払いはなくなる可能性があるが、私も現場にいて(契約書などが)一部形骸化されているので、この法律が運用され、どれくらいフリーランスが守られるのか、経過を見ていかないといけない」と今後の動向に注目します。 一方、フリーアナウンサーの荘口彰久さんは、この法律に関する経営者へのアンケートを見たことがあるといい、そのなかで多かった反対意見として「フリーランスが自由に使いづらくなること」を挙げます。そして、「(業務委託が)6ヵ月以上になると育児・介護などの配慮が義務付けられたとあるが、それまでは続けられていたのに6ヵ月になる段階で切られるのではないかとか、そういうことを考えてしまう」と懸念。 今回のフリーランス新法に関して、20~30代の女性ITフリーランス向けイベントの参加者に話を聞いてみると、「上下関係がない雇用形態のはずが、上下関係ができ、意見が言えない方々にとっては自分の領分で働きやすくなると思う」(通信業 フリーランス/女性)、「フリーランスの権利や立場が法的に強化され、少し安心感はある。これを機にもう少し安心して子育てなどができる環境になれば」(IT業 フリーランス/女性)、「産休や育休に関することも盛り込まれていたので、今後そういった場面になったときに助かるかもという期待はある。ただ、それで安心して出産できるとはまだ思えない」(Web業界 フリーランス/女性)など、さまざまな声がありました。 また、番組SNSには視聴者から「多層契約の問題を解消しないとこの手の問題は解決しないと思う」との意見が。堀が「業界によっては(間に)何社もかませることもある」と頷くと、馬渕さんも「下請けの下請けになってしまうと対等な関係性ではなくなるので、そこでフリーランスの方が守れるか。そこまで含めて考えないといけない」と案じていました。