売上高は約1兆円…「ヒカリエ」や「マークシティ」を所有し、渋谷を牛耳る「あの企業」とニセコの意外な関係
今や世界中から富裕層がこぞって訪れる冬の高級リゾート地となった北海道ニセコ。どうやってニセコはインバウンドをものにしたのか。海外の富裕層を取り込む外国資本の戦略、日本の観光に足りていないものとは何なのか。ニセコの成功の背景を、リゾート地・富裕層ビジネス・不動産投資の知見をもつ筆者が、これらの謎をひも解く。 【写真】習近平の第一夫人「彭麗媛」(ポン・リーユアン)の美貌とファッション *『なぜニセコだけが世界リゾートになったのか』(高橋克英著)より抜粋してお届けする。 『なぜニセコだけが世界リゾートになったのか』連載第20回 『「大きなカネの流れの変化に気付いていない…」不動産投資のプロが明かす、ニセコのバブル相場で“勝つ”方法』より続く
「ニセコ」を作った東急
ニセコの今日の成功を紐解くにあたって、まずはニセコの開発の歴史を振り返ってみよう。 ニセコの発展の歴史を語る上で、東急の存在を外すわけにはいかない。東急グループの事業構成は複雑なので、ここで少し整理しておきたい。 現在、東急グループは、東急株式会社(東急)を上場持ち株会社、中核事業会社として一大企業グループを形成している。東急の子会社には、東急電鉄、伊豆急ホールディングス、東急百貨店、東急ホテルズなどが並ぶ。鉄道、小売り、ホテル事業だけでなく、東京・渋谷で進行中の大規模都市再開発など不動産事業にも注力しており、渋谷スクランブルスクエア、渋谷ヒカリエ、渋谷マークシティなど渋谷地区で多くの大型物件を保有している。 東急ホテルズには、ザ・キャピトルホテル東急、セルリアンタワー東急ホテル、渋谷エクセルホテル東急、渋谷東急REIホテルなどが揃う。東急の売上高は1兆1642億円に達しており、ホテル・リゾート事業の売上高は961億円である(2020年3月)。
東急グループの衝撃的な規模
一方、東急グループには、多くの関連会社があり、東急株式会社が15・90%を保有する東証一部上場の東急不動産ホールディングス株式会社(東急不動産HD)もその主要な一つだ。名前の通り、不動産・住宅・リゾート事業などをメインとしている。東急ハーヴェストクラブ、スキー場やゴルフ場の運営も行っている。東急不動産HDの子会社には、東急不動産、東急リバブル、東急ハンズなどがある。 東急不動産の子会社に東急リゾートがあり、更にその東急リゾートの子会社が東急リゾーツ&ステイであり、ここがニセコグラン・ヒラフスキー場やホテルニセコアルペンなど、ニセコにおける事業運営を行っている。東急不動産HD全体の売上高は9632億円に達しており、リゾートホテルなどリゾート運営の売上高は418億円となっている(2020年3月期)。
高橋 克英(金融アナリスト)