【有馬記念】現役時代3勝の岡部幸雄氏が分析 ①ダノンデサイル好位インから抜け出す!
騎手時代に有馬記念で最初に3勝をマークした岡部幸雄氏(76)は、最大の注目馬に今年の日本ダービー馬ダノンデサイルを挙げた。2020年には11番人気で2着に入ったサラキア、昨年は7番人気で2着のスターズオンアースを注目馬に挙げており、その分析が興味深い。 断然の存在だったドウデュースが右前肢跛行(はこう)のため残念ながら出走を取り消し、一転して混戦ムードに変わった。 各騎手の乗り方も一層興味深くなったが、私が最も魅力を感じるのが今年の日本ダービー馬ダノンデサイル。前走の菊花賞は、序盤は好位につけたが、次第にポジションが下がり、上がり3ハロン2位の脚を発揮しながら6着と消化不良のレースになってしまった。 ダービー以来5カ月ぶりのレースで少し重い感じもしたことに加え、未知の3000メートルのうえ、展開も出入りが激しく、横山典騎手は慎重になったのかもしれない。 だが、休み明け2戦目の今回は状態面の上積みが見込め、2500メートルなら鞍上も自信を持って乗れるだろう。 今年はどうしても行きたいという逃げ馬が見当たらず、スローペースが濃厚な状況。①番枠だけに同じくスローペースだったダービーのように好位のインで脚をため、直線もインから抜け出すようなレースをするのではないか。 年長の牡馬より2キロ軽い56キロもプラス材料。定量戦や馬齢重量戦の斤量差は年齢による成長度、性差を判断して設定されているが、実情は違う。 以前と違い、育成や初期調教が充実した現在、12月下旬の3歳馬にとって2キロ差は有利。過去10年で3歳馬が年齢別で最多の4勝をマークしている点からもそれが分かる。特に昨年からの斤量引き上げによって、同じ2キロ差でも4歳以上牡馬が58キロと重い重量になったことでより3歳馬は戦いやすくなったように思える。 1カ月前のジャパンCでシンエンペラーが僅差の2着同着に入るなど、現3歳世代はレベルも高そう。この点も強調できるので、菊花賞馬アーバンシックにも注目したい。 逃げ・先行タイプが少ない場合、逆にペースが速くなることもまれにある。もしそうなった場合、中山芝2500メートル2戦2勝のブローザホーン、中山芝3勝のローシャムパーク、スタミナ豊富なジャスティンパレスあたりもプラスになるだろう。(元JRA騎手)
■岡部 幸雄(おかべ・ゆきお) 1948(昭和23)年10月31日生まれ、76歳。群馬県出身。67年3月に騎手としてデビューし、2005年3月の引退までに中央競馬でマークした2943勝は歴代3位。有馬記念は84、85年シンボリルドルフ、88年オグリキャップで3勝した。20年に秋の叙勲で旭日小綬章を受章。僚誌週刊ギャロップで「名手の競馬学」を連載中。