巨人・岡本「打てるような気がしていた」予感的中、10試合ぶり「会心」復活弾
◆JERA セ・リーグ 阪神1―2巨人=延長10回=(26日・甲子園) 巨人が敵地・甲子園では2年ぶりとなるカード勝ち越しを決めた。1点を追う9回1死、岡本和真内野手(27)が起死回生の9号同点ソロ。延長10回に勝ち越し、逆転勝ちした。9回1イニングをパーフェクトに抑えたドラフト1位・西舘勇陽投手(22)はプロ初勝利。首位・阪神から2ゲーム差の3位で、28日のソフトバンク戦(東京D)から始まる交流戦に向かう。 【写真】「ザ・キャッチ」チーム救った岡本 最高の感触を残した岡本和の白球が気持ち良く、すっ飛んでいった。これが見たかった。4番の豪快なアーチ、そして勝負強さ。これを誰もが待っていた。土壇場で起死回生の同点ソロ。静まりかえる甲子園で、巨人が息を吹き返した。 「打てて良かったなと思います。本当に。チャンスで打てていなかったので良かったです」 1点を追う9回1死。ゲラの初球、真ん中高め157キロを左中間席へと放り込んだ。「会心だった」。打った瞬間、歩いて見届けるほど手応えがあった。12日のヤクルト戦(神宮)以来、10試合44打席ぶりの9号ソロ。チームを窮地から救った。 もどかしい時間を過ごしてきた。5月は試合前時点で65打数15安打で打率2割3分1厘、4本塁打、7打点。「打てるようになんとかやっていかないといけない」と苦しんだ。20打席連続で得点圏で安打がなく、完封負けを喫した25日の同戦は、好機での凡退もあり4打数無安打3三振に終わっていた。 よみがえることができたのは、中堅から逆方向に打つという基本に立ち返ったから。直近の試合では引っ張りにかかり、凡打を繰り返していた。思い返せば11日のヤクルト戦(神宮)で1試合2発を放った時は、指揮官に「ゴロを打ってこい」と助言を受けて、センター中心の意識を高めて臨んでいた。もがく中で原点に返った。 当時の感覚を取り戻すかのように、試合前の練習では逆方向へライナー性の打球を意識。「感覚が良かったですし、打てるような気がしていた」と復調を自ら感じ取って、臨むことができた。阿部監督は「岡本の一本が流れをこっちにもってきてくれた」と絶賛。同じ重責を背負った男として、「4番が打つというのは試合を左右する。今年は反対方向にいい打球が飛んでいなかったけど(6回の)右直(記録は右飛)を見て、ちょっと復調するかなと思った」と目を細めた。 打てない期間も貫いてきた“マイルール”がある。「どんな時でも絶対に下を向かないようにしよう」。主将2年目を任された時、守り抜くと決めていた。責任は感じていたが、落ち込むことはしないようにした。現役時代の阿部監督を始め、前キャプテンの坂本ら歴代の中心選手たちは誰もがそうだった。練習から若手に声をかけ続け、視線は前を向き続けた。 敵地で首位・阪神に勝ち越し、勢いに乗って28日からのソフトバンク戦(東京D)に臨む。昨年の交流戦では打率3割8分3厘、8本塁打、19打点でMVPに輝いた主砲は「勝てるように頑張ります」と引き締めた。得意の舞台を前に、頼りになる4番が帰ってきた。(宮内 孝太) ◆金村義明Point 岡本和は起死回生の同点弾で、ようやく肩の荷が下りたはずだ。6回2死一、二塁の右飛も内容は悪くなかったが、結果が出ない焦りからスイングが小さくなっていた。得点が入らない責任を一身に背負っていたのだろう。9回の後がない状況で見せた無心のスイングは、復調へ何よりのきっかけになる。
報知新聞社