DeNAが3連勝しても「初めて五分」 鷹有利の形成は変わらず…専門家が予想する理由
第1戦で牧の内角を徹底して攻めた有原&甲斐
「牧は第1戦で有原、甲斐のバッテリーに徹底して内角を攻められました」と野口氏。確かに、有原は牧を第1戦の第1打席で空振り三振に仕留めたが、初球から4球連続で内角をえぐるツーシームを投じ、最後にワンバウンドのフォークを振らせた。第2打席では遊ゴロに打ち取ったものの5球中4球がツーシームだった。牧は第1戦で有原に3打席抑えられ、結局5打数無安打に終わっている。 「牧は初っ端に内角を相当意識させられました。内角を打ちにいこうとすると、体がどんどん開いていき、今度は低めのボールゾーンの変化球に対してバットが止まらなくなる」と説明。「第4戦の第4打席で、ワンバウンドのスプリットを2度も振らされて三振しましたが、レギュラーシーズンでは、選球眼のいい牧のあんな姿は見たことがありません」と語った。 野口氏によると、経験豊富な甲斐は2019年の巨人との日本シリーズでは坂本勇人内野手、翌2020年の同じ巨人との対戦では岡本和真内野手の内角を徹底的に攻め、いずれも4勝0敗での日本一に結びつけた。最初に相手のキーマンを封じておくことは、短期決戦を制するための“鉄則”といえる。 DeNA打線では、1番を打つ桑原将志外野手がシリーズ打率.421と絶好調。オースティンの勝負強さは相変わらずで、当たりが出ていなかった宮崎敏郎内野手も、第4戦の7回にソロアーチを放った。あとは牧と、シリーズ打率.154(13打数2安打)の佐野恵太外野手の“復調待ち”とも言える。 「それに、左太ももに故障を抱えながら第3戦でソフトバンク打線を抑えたDeNAの東(克樹投手)が、第7戦の先発にスタンバイできるか。先発できたとしても、普段通りの投球ができるのかが、DeNAにとって鍵になりそうです」と野口氏。「3勝3敗で第7戦にもつれ込み、東とモイネロで最終決戦となれば、見ている方にとっては面白いですね」とうなずく。日本一の行方はまだまだ見えない。
宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki