鬼越トマホーク、7年ぶり単独ライブは「プレッシャーに押しつぶされそう」金ちゃんがインタビューに遅刻!?
鬼越トマホーク(金ちゃん、坂井良多)の7年ぶりとなる単独ライブ「やれんのか!?」が、9月16日(月・祝)にルミネtheよしもとで開催される。 【写真を見る】単独ライブ「やれんのか!?」を9月に控える鬼越トマホーク ケンカ芸でブレイクを果たし、テレビはもちろん、YouTube「鬼越トマホーク喧嘩チャンネル」も絶好調と乗りに乗っている彼らが、原点とも言えるネタと向き合う本イベント。 今回、その経緯や胸中を探るべく、インタビューを行った。しかし、早朝スタートということもあってか、金ちゃんが遅刻する事態に。まずは、坂井に話を聞くことになった。 ――7年ぶりの単独ライブとなります。(インタビュー時点で)2ヶ月前ですが、現在の心境から教えてください。 坂井「結構追い詰められています...。僕らはネタを作るのが不得意で、ずっと(ネタづくりや単独ライブなどから)逃げてきたんですよ。でも、お世話になっている作家の大井洋一さん(水曜日のダウンタウン、チャンスの時間などを担当)から『失敗してもいいから単独やろうよ』と声をかけていただいて、やることになりました。金ちゃんには相談せずに話を進めたんですけど、金ちゃんもどこかで『ネタはやらないとな』という思いはあったと思うんですよね」 ――長い沈黙を経ての単独ライブは、大井さんの後押しがあったんですね 坂井「あれだけお忙しい方なのに、今回作家にもついてくれて、本当に感謝しかないです。あと、松尾駿(チョコレートプラネット)さんからも『お前ら悪口ばかり言ってるけど、鬼越がネタを作ってないの知ってるからな。作らないとダメだぞ!』と言われたんですよ。"松尾さんってネタ作ってたかな(チョコプラは長田庄平がネタづくり担当)?"とは思ったんですけど(笑)、僕らのことを思って言ってくれているんで、ありがたかったですね」 ――ほとんどネタがないなか、舞台や営業などではどうされていたんですか? 坂井「僕らって、手を抜いて仕事をしている風には言うんですけど、実際に手を抜いたことはなくて。営業では『盛り上げることが使命』だと思っているので、お客さんを舞台にあげたり、アドリブでやったり、その場を楽しんでもらおうと思ってやっていました。『反則と言われるかもしれないけど、俺ら(の主戦場)は舞台じゃないから、こういう道で生きていくから』とは思いつつ、それは逃げなんで。ちゃんとネタは作らないとな、と」 ――実際にネタづくりに取り組んでみていかがですか? 坂井「2人のキャラ、アドリブ、トークなど、僕らのことを面白がってくれる人もいるんですけど、その部分をネタに落とし込むのがすごく難しいです。昔から、2人とも太っていないし、ハゲてないし、普通の見た目だと思って生活していたところがあって、自分たちが見えてなかったんですよ。異常な見た目なのに仲がいいとか、それが面白いと気づかずにやってきちゃったんですよね。そこをネタに落とし込んでいないのは、単純に怠惰です」 ――同期のニューヨークさんや、可愛がっている後輩の空気階段さんは毎年単独ライブをされていますが、どうご覧になっていたんですか? 坂井「見るとやっぱり面白いんですけど、うちひしがれたくないので、"俺らは頑張るところが違うしな"と思っていましたね(笑)。本当にネタのレベルで言ったら月とすっぽん以上に離れていて、もう(ネタの着想として)考えているところがまったく違う。特に空気階段は、それを1年の軸にしていますからね。鈴木もぐらは『クズでろくでもない人間だ』と言われていますけど、単独ライブにかける思いは尊敬しかないです」 【ここで金ちゃんが到着】 金ちゃん「申し訳ないです!」 坂井「今『追い詰められています』みたいなインタビューになってるわ」 金ちゃん「すみません。よろしくお願いします...!」 ――改めてよろしくお願いします(笑)。大井さんと坂井さんとの間でやりとりがあり、単独ライブが決まったというお話を聞きました。金ちゃんはこの話を聞いてどんなことを思われましたか? 金ちゃん「前談として、飲みの席で松尾さんから『お前らちゃんと面白いし、あとはネタだけやりゃいいんだから』と言われたことがあって」 坂井「松尾さんの話はもうしたよ」 金ちゃん「そうなんだ(笑)。俺らが『東京吉本はチョコプラさんがなんとかしてくださいよ!』と言ったら『お前らが俺らのことを担ぐんだったら、担ぐ側のお前らもネタを頑張れよ!』と返されて...。でも、次の日に坂井から『あのときは松尾さん酔っ払っていたし、マジで気にするなよ』って」 ――(笑)。 金ちゃん「そのあとに大井さんと話をしたみたいなんですよ。何の相談もなしにマネージャーとのグループLINEに『単独ライブやることになったから』って来て...。"俺への確認まったくねえじゃねえか!"とは思いましたけど、やるなら全然やるし、ってことで決まりましたね」 坂井「ネタ部分に関しては、誰も言ってくれないなかで背中を押してくれたんだから、大井さんの思いを汚すなよ!」 金ちゃん「汚してないよ! お前がまず『大井さんにこう言われたんだけど、どう?』って相談すれば良かったんだよ!」 坂井「(金ちゃんは)巻き込まれた側になりたいんですよ」 ――(笑)。ここから徐々にネタを完成させて、追い込んでいく作業になるんですね 坂井「単独ライブをやってなさすぎて、追い込み方も分からないんですよ。自分たちが悪いんですけどね」 金ちゃん「7年ぶりなんでリハビリも兼ねて...みたいなところもあるし、ルミネだし、1時間半だし、初めての単独ライブくらいの緊張感はあります。プレッシャーに押しつぶされそうです」 坂井「大井さんには最初に『ちゃんと作ったものを見せて、そこで失敗するのはしょうがない。失敗してアドリブに逃げるとそれは単独ライブじゃないからね』と言っていただいているので、そこは守りつつ頑張りたいですね」 ――お笑いではあるんですが、別ジャンルの仕事をしている感覚なんですか? 金ちゃん「そうですね。こんなこと言うのはあれですけど、本職じゃないことをやっている感じです(笑)。もちろんでかい番組に出るとか、上のお兄さんと共演となると緊張するんですけど、またそれとは違う。だいたいそういうのが決まっても、1ヶ月以上緊張が続くことはないじゃないですか。急に『映画の主役やってください』ぐらいのオファーが来た感覚です」 坂井「饒舌だな!」 金ちゃん「遅刻しているので巻き返さないと」 ――(笑)。前回単独ライブをやったのが2017年7月。バラエティー番組「ざっくりハイタッチ」(テレビ東京系)でケンカ芸が脚光を浴びて数年後、「水曜日のダウンタウン」(TBS系)に初登場したのもこの時期です。当時はどんな状況だったんですか? 坂井「『チェンジ3』(テレビ朝日系)というレギュラー番組があって、ちょこちょこ『さんまのお笑い向上委員会』(フジテレビ系)とか『ウチのガヤがすみません!』(日本テレビ系)とかには出ていたけど、まったく食えずにバイトしていましたね」 金ちゃん「2015、2016年は『チェンジ3』と同じスタッフさんというのもあって『アメトーーク!』に出させてもらうこともあって。"これは行ったかな?"と思ったんですけどね。2017年9月に『チェンジ3』が終わり、仕事もなくてヤバかった時期です」 ――その状況をどう打破するのか、対策は考えていたんですか? 坂井「何も考えてなかったですね。ただ、今回大井さんと一緒についてくれる作家の関野樹(さんまのお笑い向上委員会、イタズラジャーニーなどを担当)くんと仲良くなったのはこの時期なんですよ。当時1年目の若手なのに『ネタ書いてきたんでやってくれませんか』と声をかけてくれて」 金ちゃん「『鬼越さんのことが好きで』って3本ぐらいネタを書いてきてくれたんです。それがきっかけで仲良くなって、(2017年の)単独ライブもつかしてください、って。それ以降、関野くんが売れっ子になっちゃってね」 ――そんな3人と鬼越さんの背中を押してくれる大井さんが集まって単独ライブをやれるって素敵ですね 金ちゃん「そうですね」 坂井「僕らがここまで来られたのは運なんですよ。生き残ろうと必死でやっていたら、たまたまいい方向になっただけ。運で仕事が増えた芸人って、周りから『あいつら頑張ってねーぞ』と気づかれるんですよね。いざ頑張ったら(お笑いの)筋力が...」 金ちゃん「もう筋力がおじいちゃんなんですよ。10キロのバーベルも持ち上がらない(笑)」 坂井「ただ、今回のパーソナルトレーナーは最強だよね」 金ちゃん「大井さんと関野くんという最強のトレーナーがいるんですけど、それに耐えられる体力がまだない(笑)。さっき良ちゃんが言った通り、俺ら自体が何も成し遂げてないのに、いろいろ出してもらえるのは本当にありがたいですよ」 坂井「この間、令和ロマンに『何もしてない人』って言われましたから(笑)。でも褒め言葉だと思ったもんな」 金ちゃん「普段は悪口を言う側なんで、後輩からそうやって言われて嬉しかったですけどね」 ――逆に、先輩からアドバイスやポジティブな言葉を受けることもあるんですか? 金ちゃん「仲が良い中川パラダイス(ウーマンラッシュアワー)さんからは、アドバイスをもらうことなんてないんですけど、唯一『自分たちで"僕らネタが弱いです"って言うのやめた方がええんちゃう。最初はネタで評価されて出てきたし、実際お前ら面白かったし。自己暗示じゃないけど、"僕らつまらないので"って言い続けているから、本当にそう思ってきてるだけちゃう?』って言われましたね」 坂井「(相方の)村本大輔さんに言われたかったな」 ――(笑)。でも心に刺さったんですね。 坂井「あと、僕ら野田クリスタル(マヂカルラブリー)さんのことをめちゃめちゃ尊敬しているんですけど、野田さんは僕らのことを褒めてくれるんですよ」 金ちゃん「野田さんは『鬼越はもっと評価されていいと思うんだよ』と言ってくれるし、『水曜日のダウンタウン』に初めてプレゼンターで出たときも『お前らすげえな。初めてでこんなにできるヤツいないだろ。お前らって本当にどこの現場に行っても、最低でも80点は取れるからすごい』と言ってくれてうれしかったですね」 ――そんな先輩からも実力を認められている鬼越トマホークさんの単独ライブ。楽しみにしているファンの方も多いと思います 金ちゃん「SNSのリプとかDMで『福岡から向かいます』とか『大阪から行きます』とか、メッセージが来るんですよ。すげえ嬉しい反面、"俺たちがこの人たちの1日とお金を奪うのか"というプレッシャーはありますね。ネタはもちろん、"来て良かったな"と思ってもらえるように、楽しんでもらえたらなとは思いますね」 ――単独ライブには、大井さんや関野さんの思いも乗るでしょうし 坂井「最初は"最強の作家陣に恥をかかせないように!"と意気込んではいたんですけど、それも見越してか、大井さんから『あなたたちは失敗できるキャラだし、失敗しても笑いのネタにできるけど、失敗するなら真剣にやって失敗した方がいい。最初から失敗しようとすると、また同じことの繰り返しだから』と言っていただいたので、失敗を恐れずにできればなと思いますね」 文=浜瀬将樹
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