「飲んだら乗るな」なぜ守れない? 「飲酒運転」事故経験者が語る“過信” 専門家「お酒の“強い弱い”と脳への影響は別物」
飲酒運転による交通事故は減少傾向ではあるものの、今でも年間2000件を超えている。そうした中、栃木県にある自動車教習所で行われている講習が話題となっている。 【映像】酔っ払い状態に?講習を体験する様子
それが、運転の際に特殊なゴーグルを付けることで目の前が歪んで見えたり、平衡感覚が失われ「酩酊状態」を視覚的に疑似体験できるというものだ。那須自動車学校主任教官の浅利裕悦氏は「日本酒で5合、ビールで大瓶5本・3.3リットルを飲んだ後に相当する」と説明。 実際に『ABEMA Prime』のスタッフが体験すると、まっすぐ運転することができず、駐車時も後部を障害物に激突させるなど「遠近感、物の距離感とか幅がもう…。“飲んだら乗るな!”は本当にその通りだなと思う。運転はできない」と感想を述べた。 なぜ飲酒運転はなくならないのか。当たり前のことをなぜ守れないのだろうか。番組で議論した。
飲酒運転に対する厳罰化などにより、約20年の間に飲酒運転の事故件数は減少している。死亡事故も10分の1に減っているものの、取締件数自体は2万件近くで下げ止まっているのが実態だ。 過去に飲酒運転で複数回事故を起こし、その後は断酒を続けているという田川氏は当時を振り返り、「顔色が変わらないのでよく“お前は強いな”と言われていた。“すごいな”と言われるのがうれしくて自慢になった」という。飲酒運転の自覚は「あった。最初から乗ることを想定している。ただ、事故は起こさない、運転できる、大丈夫だと思っていた」。 事故を起こしても繰り返してしまったことについて「基本的に懲りていなかった。お酒の飲み方が他の人とはちょっと違って、ずっと飲み続ける。途中でやめるコントロールができなかった」と説明した。 武蔵野大学薬学部教授の阿部和穂氏は、アルコールによる脳への影響を指摘する。
「麻酔薬みたいな作用があるので頭がボーっとする。前頭前野が最初に麻痺するのだが、これはお酒の強い弱いに関係なくほぼ全員だ。飲んだ時に解放された感じがして、大騒ぎできて楽しい感じになるのは、ここが麻痺しているから。おそらく何杯でも飲めることが“強い”と言われるが、それは肝臓の分解の話で、脳への影響は別物と考えていただいた方がいい」 警察庁は、アルコールは少量でも脳の機能を麻痺させ、「酒に強い」と言われる人でも低濃度のもので運転操作などに影響を及ぼすとしている。