ぶいすぽっ!の隠れた努力家・八雲べに&白波らむね 『RAGE VALORANT』に挑むメンバーたちを掘り下げる
現在のVTuberシーンにおいて、タレントの活躍する分野は日々拡がっている。そのなかで年々支持を強めているのがBrave groupが手がけるVirtual eSports Project「ぶいすぽっ!」である。 【画像】ぶいすぽっ!のセクシー担当・八雲べに 業界においてさまざまな趣向のプロジェクトが存在するなかで、「ぶいすぽっ!」が特色としているのは、eスポーツに特化した事務所であること。とくにFPSジャンルを得意とするメンバーが多く、なかには各タイトルにおける認定ランクで上位に食い込む者もいるほどだ。 現在所属するメンバー20人は昼夜問わずゲーム配信をおこない、プロジェクト内外で催される大型大会や企画へ参加するなど、ここ数年ですこしずつ存在感を示してきた。配信を通じて印象的なシーンを生み出してきたことで、コラボ商品や商品広告にも起用されるようになっており、持ちうるタレントをフルに活かして活躍する場面が増えてきている。 現在の運営体制となってから約4年ほど、シーンをリードする「ホロライブ」「にじさんじ」にも劣らない「ぶいすぽっ!」の魅力が、広く知られつつあるのだ。 そんななか、2024年4月29日にはぴあアリーナMMにて『RAGE VALORANT 2024 feat.VSPO!』の開催が決定している。ぶいすぽっ!の所属メンバーから6人が選抜され、ストリーマーチーム、VALORANTキャスターチーム、元プロチームの3チームへと挑む内容となっている。 当イベントに合わせ、本コラムでは出場するメンバー6人にフォーカスし、彼女らの経歴や活動内容について紹介していこうと思う。最後となる今回は『RAGE VALORANT 2024 feat.VSPO!』に出演するメンバーのなかから、八雲べにと白波らむねの2人についてだ。 ■さまざまな声色を操る「ぶいすぽっ!」のセクシー担当・八雲べに 八雲べには、2021年4月14日にSNSに初投稿、16日に初配信をし、ぶいすぽっ!11人目のメンバーとしてデビューした。 ミントグリーン色のロングヘアーと薄紫の瞳、高身長かつグラマラスなスタイル、それを活かしたセクシーな衣装など、彼女のビジュアルは初めて見る人でも目をひかれる。 彼女自身そのルックスの良さを自覚しており、デビュー時から何度となくぶいすぽっ!の「セクシー担当」を自称している。くわえて、彼女の声もそれにふさわしい艷やかさ/甘美さを漂わせており、ルックス・声色ともにその言葉に偽りない魅力を発揮している。 先日デビュー3周年を迎えた彼女だが、記念グッズ用のイラストには水着を着てナイトプールではしゃいでる姿が描かれ、ぶいすぽっ!史上初めて、抱き枕カバーが記念グッズとして販売されることになり、ぶいすぽっ!ファンが大いに盛り上がった。グッズに使用されたイラストもセクシーなもので、もはや“自称”どころか事実上のセクシー担当として、メンバーやファンから評価されているのだ。 デビュー当初は先輩たちに対して遠慮がちに「先輩」「さん」付けをしていた八雲べにだが、後に他メンバーが語るところによれば「八雲は始めのころから図々しさがあった」「おまえは図太い」と言われるほどのフレンドリーさを発揮していたようだ。1年も経たないうちに、先輩らと下の名前で呼び合うほどの関係性を築くこととなった。 じつはデビュー以前からメンバーの何人かと知り合いだったそうで、花芽すみれや英リサらとは交流があったという。そうした交友関係も、早くから環境に慣れることができたひとつの要因になったのだろう。 八雲のフレンドリーさは、さまざまなストリーマーやVTuberらに対しても同じく発揮される。さまざまな話題を相手に振って会話の中心となることが多く、ほどよい距離感で対話していける高いコミュニケーション力を持ったタイプである。 そういったコミュニケーションにおける取っ掛かりのひとつとして彼女がよく繰り出すのが、センシティブなネタ、セクシーなリアクションである。多人数が参加するコラボ配信ではそうした“下ネタ”でひと笑いを狙うこともまま見られる。しかも、その声色のおかげか下品さやクドさをあまり感じさせないため、ひとつの話芸として成り立っている。 ただし、エピソードトークを引っ張り出してきて話すようなタイプではなく、あくまで「セクシー担当」のリアクション芸としてのものが多いということは覚えておきたい。こういったセクシーな話題にも比較的寛容なタイプではあるが、雑談配信などで常に披露している……というわけではない。配信内でコメントする際には注意すべきだ。 こうしてコラボ配信では盛り上げ役となる八雲だが、ソロの配信や雑談でみせる姿はまるで別。日々の生活でなんとなく思ったことやプライベートの時間で起こった出来事など、さまざま話題をフリートークしていくのだが、「リスナーと喋っている」というような気負いなどが感じられず、まるで友人へと話しかけるような温度感で話を進めていく。 コラボ配信をしているときの彼女しか知らないリスナーからすればかなり淡々とした雰囲気に感じられるが、ソロ配信では一転、彼女の穏やかな表情を楽しむことができるのだ。 そんな彼女はネットカルチャーのなかで活動をしていることもあって、アニメやマンガ好きなパーソナリティを持つ。なかでもお気に入りのキャラクターについて「ドラゴンボール」シリーズに登場するベジータがいちばん好きだと公言しており、ベジータの声真似が得意なストリーマー・ファン太に関して 「むかしニコ生で声まね配信のひとを見てて、ドラゴンボールの声真似で凸待ちをしている人がたくさんいたんだけど、ファン太さんも見てたんだよね。ニコ生のときとんでもなかったよ、下ネタのオンパレードだった」 と、昔からニコ生(ニコニコ生放送)といったコンテンツに触れていたことを明かしており、彼女もひとりのネットカルチャー好きだったことがうかがい知れる。 声まね配信を好んで見ていた経緯もあってか彼女自身も声まねが得意であり、『新世紀エヴァンゲリオン』の葛城ミサト、「ドラゴンボール」シリーズのチャオズ、「鬼滅の刃」堕姫などバリエーションも豊富。同僚である藍沢エマのモノマネなどを含め、その高いクオリティには笑いと納得の声が多数上がるほどだ。 ■八雲べにと『VALORANT』 ぶいすぽっ!内でいちはやくウォッチパーティメンバーに選出 もちろん、FPSジャンルのゲームに強みを置いたぶいすぽっ!からデビューしたこともあり、例に漏れず八雲べにもFPSゲームが得意である。 得意としている『VALORANT』ではもともとソロで高ランク帯に入っていたことを話しており、その後も配信内外を通じて長くプレイした結果、2022年11月26日にイモータルランクへと到達した。現在でもアセンダント~イモータルランク帯でプレイしつづけており、その実力は非常に高い。 八雲自身は夢野あかり、猫汰つな、胡桃のあのように積極的にキルやワンピックを狙いにいくタイプではなく、状況をみて柔軟にサポートをこなしていくタイプであり、今大会でもキルやダメージを稼ぐロールではなく、守備・防衛役として重要なロール・センチネルのエージェントを使用している。 また自身の声の良さはFPSタイトルでの報告などにもしっかりと生かされており、とあるFPSプレイヤーが配信中に同じチームになった際に、その声と口調でリスナーがすぐに気づいて「八雲べにだ!」とコメントが盛り上がったこともある。 他のFPSタイトルではぶいすぽっ!の同僚よりもランクは劣るものの、『Apex Legends』『PUBG: BATTLEGROUNDS』でみせるゲームスキルは、やはり他のVTuber~バーチャルタレントらよりも高いものがある。場数や経験の差がそこには確かにあると言えよう。 彼女がデビューした時期は『Apex Legends』を用いた大会が多く、その真価が発揮されるタイミングはあまり見られなかったが、2021年11月26日にはぶいすぽっ!・にじさんじらが出場した『VALORANT GIRLS PARTY』ではIGL役としてチームをまとめあげてトップへと導き、その後も好成績を収めることが多い。 コラボ配信では楽しげに周囲と会話して盛り上げてくれる八雲なのだが、こと『VALORANT』に関してはソロでのプレイがほとんど。そのプレイングも非常に冷静であり、対戦中には笑う素振りすらみせない。 こうしたスタイルに至った理由はいくつか考えられるが、筆者はここに、「絶対に1人で強く・上手くなってみせる」という強烈・強固な意志を感じている。単にプレイするのではなく、覚悟を決めてプレイしていく、そうして積み重ねてきた数年の経験は非常に濃いものとなっている。 2022年3月からは『VALORANT』の公式大会『VALORANT Champions Tour(VCT)』のミラー配信や公式ウォッチパーティのメンバーに、ぶいすぽっ!メンバーから初めて選ばれるようになっており、同作品ともっとも関わりが深いぶいすぽっ!メンバーといっても過言ではない存在になっていった。 反面、FPS以外のゲームをプレイしている際の彼女というと、これまであまり多くのゲームをプレイしてこなかった影響からか、普段見せる冴えたプレイングは影を潜め、“普通の女の子”のような一面を多く見せてくれる。 これはゲーム実況がメインのストリーマーやVTuberによくあるケースなのだが、得意とするゲーム/ジャンル以外をあまりプレイしたことがないということは多々ある。別ジャンルのゲームをプレイしてみると普段の姿とはまったく異なる、弱々しい姿を見せることが多々ある。 八雲もそのタイプであり、『Minecraft』では先輩に教えられながらすこしずつ基礎を学んでいき、ホラーゲームでは怖がったり叫んだりと、その姿はとても『VALORANT』上級者で冷静に立ち回るプレイヤーとは思えないほど。 昨年開催された『VCR GTA』では、初回開催ではギャングのボスをしてチームをまとめあげた。初プレイとなった『グランド・セフト・オートV』には大層ハマったようで、毎日のように10時間以上、ときには24時間以上にわたってプレイしつづけることもあったほどだ。 終了直後にはストリーマーを集めたサーバー企画『ストグラ』にも参加。第2回『VCR GTA』が開催された際には警察官としてしっかりと後輩たちを育てる立場に。初プレイからさまざまなことを学んだ八雲が、今度は教える側にまわってイベントを楽しんでいたのは印象的であった。「イチからゲームを上達していく」チャレンジが比較的多い八雲べに、興味があればチェックしてみるとよいだろう。 持ち前のユーモアセンスとフレンドリーさで周囲を笑わせたあと、1人でしゃべるときは穏やかな面持ちでリスナーと喋りあう。そういった振れ幅に彼女の人間味を感じられ、多くのファンを生み出した。2024年3月19日にはYouTubeチャンネル登録者数が50万人に達した八雲べに。さまざまな表情を使い分けて、今後も見どころを届けてくれるだろう。