巨人から明かされた田中将大の年俸1億6000万円、その“中身”とは? セ球団査定担当がみた“実績”“実力”以外の妥当性と「出来高」の意味
営業面への「期待料」と若手への「指導料」
田中は2013年に24勝0敗で楽天初の日本一に貢献した。14年からのメジャー7年間では名門ヤンキースでエース格として78勝(46敗)を挙げた。日米を股にかけた実績は既に球史に残るものだ。特に通算200勝は、日本球界だけでも55人いる通算2000安打に対し、日米合算でも27人しか達成していない。希少価値が高い快挙となり、“カウントダウン興行”では集客やグッズ販売など営業面で田中の登板が大いに寄与することが見込まれる。1億6000万円の投資は決して高いとは言えないようだ。 入団会見に同席した阿部慎之助監督は、敵選手として戦った13年の日本シリーズに言及し、160球を投げた翌日の第7戦で胴上げ投手となったことを引き合いに、若手の手本たれと求めた。就任時から“自己犠牲”をモットーとする阿部監督は「己を犠牲にしてでも最後ああいう登板をしてきたりとか、熱い気持ちを持っているピッチャー。今の若い選手は足りていないところ。そういうものを見て学んで、継承してもらいたいがために獲得をお願いしました」と自らが熱望したことを認めながら期待感を込めた。 「巨人には伸び盛りの若手投手が多くいます。マー君も会見で自覚を示していましたが、菅野(智之=オリオールズ)に代わる投手陣のリーダー的存在として期待されています。年俸にはその分も含まれているのでしょう」(同査定担当)
巨人の補強の成否が作用?
田中は巨人入りの決め手に「一番熱くお声がけしていただけた」ことを挙げた。巨人は今オフ、ソフトバンクから国内フリーエージェント(FA)権を行使した石川柊太投手の争奪戦に敗れ、先発投手の補強が懸案のままになっていた。中日を自由契約になったライデル・マルティネス投手の獲得に成功したとはいえ、これで外国人枠は飽和状態となったため、日本選手による先発補強を迫られていた。球団事情も好条件の背景にあったのか。 「この二つの補強の成否でマー君の巨人入りが進展したとみています。石川を取れていたり、マルティネスを取れなかったりしていればどうなっていたのでしょうか。マー君へのニーズが高まっていたことが年俸にも作用したかもしれません」 同査定担当はこう話しつつ、出来高の詳細に言及する。 「マー君クラスの投手ですからレギュラーシーズンは大リーグのように登板数、勝利数、イニング数などで細分化されていると思います。ポストシーズンでの活躍やタイトル獲得も対象に含まれているのではないでしょうか。200勝達成時の出来高も考えらます」