【2024ふくしま衆院選】直前情勢 福島県内選挙区 新4区 自民、相双で組織固め 立民、労組と関係強化
◆立候補予定者 坂本竜太郎 44 自民 新 斎藤 裕喜 45 立民 新 熊谷 智 44 共産 新 新4区は南北に約100キロ。浜通り全域が一つになった。福島県いわき市を地盤にしていた元復興相の現職吉野正芳(76)が引退し、40代で同学年の新人3人の争いになる公算が大きい。うち2人は立候補を表明したばかりだ。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の発生から13年余り。いまだ古里に帰れず県内外に避難している住民もいる。どう支持を広げていくか。「時間がないな…」。選挙を仕切るのに慣れたベテラン県議でさえ焦りを隠さない。 ◇ ◇ 自民党の新4区支部長に就き、公認候補予定者となった元県議の新人坂本竜太郎(44)は5日、地元・いわき市のイベントや運動会に顔を出した。「先輩が築いた伝統を継承し、新たな時代の古里のためにまい進したい」。来場者に深々とお辞儀し握手を交わした。 元衆院議員の父剛二(故人)から引き継いだ組織に加え市議、県議時代の自前の後援会を基盤に選挙戦に臨む。「いわき市の体制は盤石だ」。自民党の市議は自信をのぞかせる。チラシの作成や事務所の確保などの準備を加速させている。
陣営はいわき市以外での組織づくりが鍵になるとみる。これまでいわき市とは別の選挙区だった旧1区の相馬市には、立候補表明の翌日に首長の支持者らを交えた後援会ができた。南相馬市では5日、衆参両議員の後援者らによる緊急会合が開かれ、坂本の支援を確認した。 新4区選対本部長の県議の太田光秋は「多くの有権者と対話の機会をつくり、坂本の人柄を押し出して浸透を図る」と気を吐く。 ただ、吉野の引退表明を受けての始動となったため名前の浸透はまだまだだ。公認手続きも完了しておらず、南相馬市議の1人は「現時点でポスターもリーフレットもなく、活動しようがない」と気をもむ。吉野の支持層から後押しも期待するが、吉野はかつて父と旧5区での党公認を争った間柄。「融和は容易ではない」とみる関係者もいる。 ◇ ◇ 立憲民主党の公認候補で新4区支部長の新人斎藤裕喜(45)は5日、大熊町で市議や県議と会い、「短い期間だが、諸先輩の指導をいただき、地域を盛り上げていきたい」と決意を述べ、支援を呼びかけた。