米独債の逆張り戦略、支持集める-市場の欧米利下げ見通し試される
(ブルームバーグ): 米国債がドイツ国債のパフォーマンスを上回るという逆張りの戦略が支持を集め、今年人気だった欧州債への強気の取引がリスクにさらされている。
インサイト・インベストメント・マネジメントは、市場が米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げを少なく織り込み過ぎているとの見方から、米国債を買い、欧州債を売っている。トロント・ドミニオン銀行は欧州中央銀行(ECB)が十分な緩和を行わず市場を失望させるリスクがあるとして、顧客に同様の取引を勧めている。
これは、欧州債への強気取引に逆行するものだ。ユーロ圏経済の見通しが米国に比べて弱まり始めたことから、投資家はECBがより急速に緩和を進めると考え欧州債を買った。
この結果、ドイツ10年債利回りは米国債を約220ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)下回り、その差は2019年後半以降で最大となった。
しかし、インサイト・インベストメントのシニアインベストメントスペシャリスト、ジル・ヒルツェル氏(ロンドン在勤)は「市場は恐らく、米国の利下げ見通しを後退させ過ぎている」と指摘する。
6480億ポンド(約127兆8000億円)の資産を運用するインサイト・インベストメントは、米欧の金利軌道が収束することを想定し、フロントエンドの欧州債に対する米国債のロングポジションを開始した。
3回と1回
現在のところ、トレーダーはECBが年内に0.25ポイント利下げを3回実施し、FRBは1回行うと見込んでいる。米当局による0.25ポイント利下げは11月のみとの予想だ。
ECBによる6月利下げ開始に対する市場の確信は揺るがない。ただ、経済情勢が変化し始めるにつれ、一部の投資家はその先について、特にFRBが今年いっぱい金利を据え置いた場合どうなるかを疑問視し始めている。
ユーロ圏の最新経済データによると、1-3月(第1四半期)成長率は主要国がけん引し予想を上回った。一方、目標である2%に向かってのインフレ鈍化は4月に足踏み状態となった。