勤め先から「試験に受からないと試験代は支給しない」と言われました。会社が受けるように指示した資格試験なら、合否に関わらず試験代を負担するべきではないですか?
勤め先から「試験に受からないと試験代は支給しない」といわれたものの、会社が受験を指示した場合は合否にかかわらず試験代を負担するべきではないのか、と考えている人もいるのではないでしょうか。自己負担を求められることに疑問を感じている場合もあるでしょう。本記事ではそのような場合の試験代は誰が負担すべきかについて解説します。
会社命令の試験を受けた場合にかかる費用の負担について
業務に必要な資格を取得する場合にかかる費用が会社負担になるかどうかは、その資格の取得が「業務命令であるかどうか」が大きく関係しています。勤め先から「試験に受からないと試験代は支給しない」といわれたケースであっても、会社がその試験を受けるように指示したのであれば、業務命令に該当すると考えられるでしょう。 このような場合は試験代を従業員の個人負担にするのではなく、企業が負担するのが妥当であると考えられます。特に、「受からないと試験代は支給しない」という点は問題であるといえます。 会社からの命令で受けた試験は合否が問題になるのではなく、受験自体が業務命令と捉えられるため、かかった費用は「業務上の経費」となるのです。この場合の「業務上の経費」には、試験を受けるために払う試験料だけでなく、試験会場までにかかった交通費や、試験を受けている時間に相当する賃金の支払いも含まれるでしょう。 なお、仮に試験結果が不合格であったとしても、上記の経費の返還を従業員に求めることはできないという判決が過去に行われた裁判で出ています。 また、厚生労働省が公開している「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」では、「参加することが業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や、使用者の指示により業務に必要な学習等を行っていた時間」についても労働時間として扱わなくてはいけないとされており、会社からの命令などがあった場合には、資格を取るために要した学習時間についてもそれに値する可能性が高いです。