「逃げ切り世代」と言われても実際はボロボロ…再雇用で働く63歳大企業社員が「死ぬ前に後悔しそうなこと」
総務省統計局の発表によると、65歳以上の高齢者人口は3627万人。総人口の約30%を占めている(2022年9月推計)。就業率を年代別に見ると、60~64歳の男性就業率は82.7%。65~69歳は60.4%。70歳以上でも25.6%にも及んでいる(2021年度)。 【マンガ】5200万円を相続した家族が青ざめた…税務署からの突然の“お知らせ” 定年を迎えても引退せずに働き続けるモーレツ社員。いったい彼らは仕事に対して、未来に対して、何を想っているのか。大手食品メーカーで40年間以上も働いている酒井さん(63歳・仮名)に話を聞いた。 聞き手:佐藤大輝(33歳・逃げ切れない世代)
給料が減っても「まぁ、いっか」
ーー第1回の記事でもお聞きしたように、酒井さんは大学卒業後、大手食品メーカーに新卒入社。定年まで勤め上げ、現在は再雇用3年目。年収は1000万円から800万円に落ち、65歳までには300~400万円にまでカットされるそうです。5人家族で、ワンチャンが1匹。20年前にマイホームを購入しました……が、ローンが800万円残っており、72歳で完済予定。単身赴任が長かったこともあり、マイホームには5年間しか住んでません。 まず最初の質問ですが、メディアなどで「逃げ切り世代」と言われることに対して、率直な感想を聞かせてください。 私たちは逃げ切り世代なんて言われてますけど、昭和の企業戦士はみーんなボロボロだと思いますよ。例えば私が若い頃は、営業手当3万円で残業代がごまかされていました。役職に就いたら役職手当のせいで残業代は出ない。若い頃は深夜まで、管理職になってからは土日も当たり前のように働いてきて…。退職金を差し引いても、ちょっと見合ってないかなって。心休まるはずの家庭も、はい。だんだんと、ねぇ。 ーー再雇用後に給料が減らされることに対して不満はありますか? んー、結論から言うと、「まぁ、いっか」ですかね。会社に不満はありますけど、同じかそれ以上に感謝の気持ちもあるので。だから、しょうがないかなって。それにずっと同じ会社に勤めていると、その会社の考え方や文化、大げさに言えば「サラリーマンの真理」みたいのが見えてくるんです。会社にあまり期待しないのが、サラリーマンライフを長く続けるコツですから。 世間では、ほら、同一労働同一賃金について議論されてるじゃないですか。あれ、ちょっと堅苦しいなって。会社ってそういうモノじゃないでしょと。もちろん再雇用前と後で同じような仕事をしてるのに、給料が減って馬鹿らしいとは思いますけど、こういったマイナス感情は10%くらい。残りは「まぁ、いっか」です。僧侶が悟りを開きつつあるイメージに近いですね。 ーーさとり世代には60代も含まれるのですね。勉強になりました。