「弁当忘れても傘忘れるな」北陸地方に“言い伝え”あり 降ったり止んだり…冬の始まりを感じさせる時雨(しぐれ)とは?【福井】
福井テレビ
視聴者から寄せられた天気にまつわる素朴な疑問や、珍しい気象現象、知りたいことなどを村田気象予報士がわかりやすく解説する「天気のギモン」のコーナー。今回のテーマは「時雨(しぐれ)ってどんな天気?」です。昔の人が感じた冬の始まりは、雨の降り方にあるようです。 冬を感じる雨の降り方を表す時雨。平安中期の和歌集・御撰和歌集には、こんな歌があります。 「神無月 降りみ降らずみ 定めなき 時雨ぞ冬の 始めなりける」 神無月は旧暦の10月で、現代の11月にあたります。 「11月の雨は、降ったりやんだりして天気が安定しません。時雨は冬の始まりを感じさせるな」という歌で、まさに「冬の始まりは時雨だ」と詠んだ歌なのです。 時雨は「時の雨」と書きますが、晩秋から初冬にかけて雨や雪が降ったり止んだりする天気を指します。 秋に降る雨の多くは、低気圧が引き連れてくる大きな雨雲によるもので、一定期間、連続して雨が降った後は高気圧に覆われて晴れます。メリハリがあるのが秋の天気です。 ところが、晩秋、11月中旬になると冬型の気圧配置になります。上空に寒気が南下すると海の上で雨雲が発達するのですが、雨雲は点在してやってくるようになります。 雨雲がやってきたときは、雨が降り、雲が離れると晴れることもあります。雲が近づいてくるとまた雨が降る、というように雨が降ったり止んだりします。これが時雨です。 先週、23日土曜日も時雨(しぐれ)ました。23日の天気図は、西高東低で等圧線が縦に走り、冬型の気圧配置でした。この日の福井市は、弱い雨が降ったりやんだりでした。その時の雲の画像を見ると、筋状に白い雲が走りますが、隙間があり、途切れながら雨雲が流れ込んでいます。この雲の動きが時雨をもたらすのです。 北陸地方には「弁当忘れても傘忘れるな」という言葉もあるくらい、傘の手放せない日が、これから続くようになります。
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