難病で車いすを使う18歳、ドローンを巧みに操り自立へ意欲 父親の操縦資格スクールを支える 沖縄・宜野湾市
難病の青色ゴムまり様母斑症候群で身体障がいがあり、車いすを使う大河満月(みづき)さん(18)が巧みに操作するのは空に浮かぶ小型無人機のドローンだ。父正治さん(55)が代表を務めるドローン会社「プロペラペンギン」(沖縄県宜野湾市大山)の操縦士として、空撮で動画撮影などを担当する。その腕前は熟練の操縦士も目を見張るほどで、父と二人三脚で事業を展開する。(中部報道部・砂川孫優) 【写真】ドローン操縦技能試験に沖縄県内最年少で合格し、笑顔を見せる西田結翔さん(11) ドローンの操縦資格を取得するスクール、ドローンを使った建物やインフラの点検、イラスト・デザイン事業なども手がける同社は、福岡県古賀市から宜野湾市に移住した正治さんが7月に開業した。オフィスを兼ねた自宅には、用途に合わせた大小の最新ドローンが並ぶ。 父の事業を支える満月さんは、浦添市の県立鏡が丘特別支援学校に通う。皮膚などの静脈奇形が原因とされる難病の影響で、膝に障がいがある。9歳から車いす生活を送る中、2021年に福岡県宗像市で開かれたドローン飛行体験で小型無人機と出合った。 飛行体験に挑戦した満月さんは初めての操縦にもかかわらず、高い技術で周囲のプロ操縦士らを驚かせた。この経験が満月さんの大きな自信につながったことから、正治さんは障がいに関係なく操縦可能なドローンが息子の自立に生かせると考え、会社を立ち上げた。 起業後、満月さんは8月に開かれた宜野湾市大山区大綱引きの空撮に挑戦。ドローンでの撮影は米軍普天間飛行場の影響で飛行が制限されるため、約1カ月かけて国交省や沖縄防衛局など関係機関に申請や事前調整を経て許可を得た。撮影した映像を50秒にまとめ、市博物館に寄贈した。 正治さんは満月さんをモデル事例として、障がいや病気を持つ人がドローンを活用して自立できる事業を今後も模索する。「障がい者就労のベンチマークとなれるような新しいキャリアモデルをつくりたい」と語る。 ドローン操縦を「ゲーム感覚」と話す満月さんは「障がいは自分の一部で障がいの有無に関係なくできることはある。だからこそ楽しみながら働きたい」と笑顔を見せた。 問い合わせ先の同社ホームページはこちらから。