奥智哉&青木崇高が震撼した“あの一行”「人生でいちばん瞬きをしました(笑)」
緻密な構成が、不可能を可能にした
――原作を知っている方と、未見の方では、きっと見ているポイントが違いそうです。 青木 そうですよね。真相を知っている人が観ても楽しめるのが、今回の映像化のすごいところです。 奥 未見の人は絶対に2回観てほしいですよね。 青木 自動的に2回観ることになると思う。だから、ドラマ自体は全5話なんですけど、未見の方にとっては10話なんです(笑)。 奥 確かに!(笑) 時系列とか確認したくなりますよね。 青木 真相がわかるところとか、僕はちょっと泣いちゃいましたね。本作はまさしく映像化における最大の挑戦。針の穴に糸を100本連続で通すような緻密な構成が、不可能を可能にしたんだと思います。 ――“あの一行”の撮影はいかがでしたか。 奥 “あの一行”の瞬間、空気が変わった感覚がありました。 青木 鳥肌が立つ思いがしたというか。真相を知っている僕たちですらそう感じるのは、それだけ今回のスタッフのみなさんのクリエイティブが突き抜けた証でもあると思います。 奥 江南としてはその時点では真相を知る由もないんです。だけど、奥智哉としてはわかっているわけじゃないですか。だから、お芝居で出してはいけないけど、台詞を聞いただけでこみ上げてくるものがありました。 青木 またそのカットが正面から行くところがいいんですよね。しかも、ハイスピードカメラで。原作ファンのみなさんからすれば、待ち望んだ瞬間であり、この作品の肝。そこをしっかりと際立てながら、さあ見ろよといういやらしさがないところが素晴らしいなと思いました。 奥 すごく特別な空気感があって。あの現場に立ち会えたこと自体、光栄でした。 青木 実は(本作のプロデュース・監督を務める)内片輝監督と以前別の作品でご一緒したときに「映像化不可能ってよく聞きますけど、意外と不可能じゃなかったりする。本当に映像化不可能な作品ってあるんですかね」なんて雑談をしたことがあったんですよ。そのときに内片監督から教えてもらったのが、『十角館の殺人』でした。あのとき、これは不可能だと言っていた張本人が、時を経て、こうして不可能を可能にしたことにも感慨深い気持ちになりましたね。