旧尾小屋鉄道を産業遺産に 保存会、小松の車両状態を確認 クラファンで補修支援募る
東大鉄道研究会OBらでつくる「赤門軽便鉄道保存会」の会員は3日、小松市下牧町を訪れ、所有する旧尾小屋鉄道の車両の状態を確認した。尾小屋駅跡地で保管していた気動車と客車で、2年前の記録的大雨を機に同町に移設していた。外装の劣化などが見られることから今後、クラウドファンディングで資金を集めて補修し、貴重な産業遺産としての利活用を目指す。 尾小屋鉱山と市街地を結んでいた尾小屋鉄道は1977(昭和52)年に廃線となり、保存会は気動車「キハ2」と客車「ホハフ7」を譲り受けて尾小屋駅跡地の車庫で保管、整備を続けていた。2022年8月の記録的大雨では車輪の半分の高さまで浸水したことから、車両保護のため、同年10月に下牧町に移送した。 車両は鉄道愛好者でつくる北国(きたぐに)鉄道管理局(同市)代表理事で下牧町の岩谷淳平さん(48)方に保管されている。岩谷さんによると、湿度が高かった車庫に比べ、岩谷さん方では鉄の劣化は少ないものの、塗料の一部は乾燥や寒暖差からはがれていた。 60~80代の保存会員3人が車両の状態を確認し、岩谷さんと意見交換した。板金や塗装など外装の修繕にあたっては、クラウドファンディングで支援を募り、現役で活躍していた当時の外観を目指す方針だ。 かつて尾小屋駅跡地では車両を動態保存しており、上田和紀さん(68)=さいたま市=は「できれば再び動くように復活させたい」と意欲を語った。岩谷さんは「車両で尾小屋鉱山の歴史を後世に伝え、人を呼び込むスポットを整備することが重要だ」と話した。