また間仕切り、面会自粛申し出も 新型コロナの制限緩和したのに…インフル流行、介護現場に漂う緊張感
ホームヘルパーの出入り、3週間制限
長野市のある事業所が訪問介護を提供している入所施設では11月中旬、入所者1人が新型コロナに感染。回復直後、今度はインフルに感染した。この影響で、事業所は施設側から訪問介護員(ホームヘルパー)の出入りを約3週間制限された。担当していた入所者7人分のサービスを提供できなくなり、11月の介護報酬は前月より1割余り減ったという。 「感染症によって経営基盤が一気に変動する介護現場の実情は、インフル感染でも何も変わっていない」と事業所管理者の男性は言う。事業所では改めて感染症対策を強化している。
感染症対策、再び引き締めの動き
インフルエンザの施設内での集団感染が確認されていない高齢者施設でも警戒感が広がり、新型コロナの5類移行などを受けて緩和した感染防止策を再び引き締める動きも出ている。
テーブルの上にパーテーション再び
長野市若槻団地の「宅老所手と手」では現在、利用登録する29人と職員25人にインフル感染者はいないが、11月上旬、県内全域にインフルエンザ警報が出された直後、利用者が昼食を囲む共有スペースのテーブル上にパーティション(間仕切り)を設置した。 新型コロナ下で長く設置していたが、温かなケア空間に戻そうと今夏に取り外した。要介護度が3~5と重い利用者が多く、感染に伴う重症化リスクも比較的高いため再設置した。運営法人の原山あかね理事長は「感染対策を最優先する状況に変わりはない」と危機感をにじませる。
利用者家族から面会自粛の申し出も
一部職員がインフルに感染したのみで、集団感染は発生していない松本市のある高齢者施設では、家族らの面会制限を新型コロナの5類移行後に緩和し、予約制での対面に戻した。男性施設長によると、インフルの流行で再び制限を強めることは現時点で考えていない。ただ、利用者の家族からは面会自粛の申し出もあるという。施設長は新型コロナの経験から「感染対策に対する利用者家族の理解も進んできている」と感じている。 特効薬もあるインフルの流行では新型コロナと比べ「職員の気の緩みも出ている」と施設長。「(職員に)インフル感染が広がり、人手が足りなくなればサービス提供は困難になる。改めて気を引き締めなければならない」と強調した。(篠原光)