また間仕切り、面会自粛申し出も 新型コロナの制限緩和したのに…インフル流行、介護現場に漂う緊張感
職員の施設立ち入りを制限、介護報酬減った事業所も
全国で例年より早く流行が始まったインフルエンザが、県内の介護現場に影を落とし始めた。一部事業所では集団感染などの影響でサービスの縮小を強いられたり、訪問介護事業所の職員が施設立ち入りを制限されて介護報酬が減ったりといった影響が出ている。新型コロナウイルス感染症の5類移行後初の年末を迎え、忘年会再開の動きもある世間のムードとは裏腹に、ケアの現場には緊張感が漂っている。
「人員配置はかなりぎりぎりの状態だった」
岡谷市内で九つの介護事業所を展開する株式会社「和が家」。11月下旬、小規模多機能型居宅介護施設でインフル感染が拡大した。最初に職員1人が発熱し、感染が判明。この職員が入浴や排せつを支援した通所利用者1人の他、同じ日に勤務していた職員、その職員が支援した利用者らにも広がり、感染者は計6人になった。 この影響で数日間、通所と宿泊利用については、家族が在宅介護のレスパイト(休息)を希望するお年寄りなどのみに制限した。ただ、訪問介護の回数を増やしてサービス維持に努めたため、人手は普段通り必要だった。同社の今井祐輔社長(50)は「人員配置はかなりぎりぎりの状態だった」と振り返る。
感染拡大は最小限に抑えたけれど
新型コロナ感染拡大以前であれば、今回と同規模のインフル感染が発生した場合でも、サービス縮小までは考えなかっただろう―と今井社長。新型コロナ禍を経験し、感染症への危機意識が職員と利用者家族に根付いた結果、今回の判断につながったとする。インフルの感染拡大を最小限に抑えられたと感じつつ、施設の利用制限は「認知機能が一気に低下するリスクと隣り合わせで悩ましかった」と明かす。 同社では同時期に他の二つの事業所で新型コロナの感染も拡大。各事業所の看護師による感染対策委員会では、利用者が体調不良になった場合に、家族に早めに連絡をしてもらえるよう担当職員の働きかけを強めることを再確認した。こうした状況に、今井社長は「(職場の)忘年会は様子見か…」と漏らす。