【#佐藤優のシン世界地図探索60】イスラエルが「北朝鮮化」している?
佐藤 そう思いますよ。メディアからすれば、世の中の関心がそこにあるなら、それでいいわけですよ。 ――ノイズですね。すると、これも大した問題ではないかもしれませんが、イスラエルのガラント国防相が、ネタニヤフ首相に異議を申し立てました。ガザの軍事支配に反対したわけですが、これは? 佐藤 これには非常に意味があります。なぜかというと、ガザなんか占領したところで、何の意味もないからです。ガザに壁を作ったのは、自爆テロを防ぐためですよね? ――そうです。 佐藤 だから、ガザを占領するということは、自爆テロにわざわざ遭いに行くようなものです。そんな必要ありませんよね。 ――確かにそうです。 佐藤 では、なぜネタニヤフ首相がそんなことを考えているかというと、極右派が言っていて、それに引っ張られているからです。 ――あっ!! 佐藤 そしていま、見なければいけないのは、イスラエルが北朝鮮化しているという点です。 ――と言いますと? 佐藤 イスラエルはいま、世界的に孤立していますよね? ――あっ!! だから北朝鮮化している。 佐藤 その通りです。米国や諸外国との関係もそうですし、国際司法裁判所からはラファ軍事侵攻がジュノサイドだと批難されています。それから、米国が兵器を送らないとか、いくら圧を掛けてもイスラエルは「我々は最後まで戦い抜くと宣言しています。こういうところは北朝鮮と一緒ですよね。 ――確かに。 佐藤 ネタニヤフ首相は極右を切る事ができません。そのため、ガザへの入植などという有害な主張を抑えることができない。ならば、ネタニヤフごとまとめて政権を整理しないといけない、という声が高まっています。 ――北朝鮮化することを危惧する勢力が動き始めているのですか? 佐藤 そういうことです。 ――ネタニヤフを降ろして、違う人間を首相にするのですか? 佐藤 そうです。ネタニヤフから別の人間が首相になるという筋書きがいま、少しずつ動きだしています。 ――ネタニヤフ首相のガザ占領が批難されているのはなぜですか? 佐藤 極右派に引っ張られて占領しても、有効な形でハマスを中立化できないからです。ネタニヤフのやり方が強硬だから、降ろそうとしているわけではありません。ガザに対する軍事支配だとハマスを壊滅できないからネタニヤフを外して、現実的にハマスを壊滅しよう、と言っているわけです。この意味は分かりますか? ――正直に言います。分からないです!!