【#佐藤優のシン世界地図探索60】イスラエルが「北朝鮮化」している?
ウクライナ戦争勃発から世界の構図は激変し、真新しい『シン世界地図』が日々、作り変えられている。この連載ではその世界地図を、作家で元外務省主任分析官、同志社大学客員教授の佐藤優氏が、オシント(OSINT Open Source INTelligence:オープンソースインテリジェンス、公開されている情報)を駆使して探索していく! * * * ――まず、プーチン露大統領が中国を訪問しました。これは「朝貢外交」になっているのですか? 佐藤 そんなことはありません。その前に、私はこれを分析の対象にすらしていません。 ――そんなに大騒ぎにならないということですか? 佐藤 というより、言及する必要がありません。今まで何か本質的な変化はありましたか? ――ないです。では、プーチン政権でショイグ国防相が交代しました。これはどうですか? 佐藤 その人事でショイグ氏は安全保障会議の書記に任命されました。つまり、国防省を指揮する立場になっていますね。 ――階級が上がったのですか? 佐藤 そういうことです。パトルシェフ前書記は以前から解任を希望していましたし、もう歳ですからね。プーチンの大統領再選から世代交代しているのは間違いありません。 ――大騒ぎすることではない? 佐藤 はい、全くないですね。経済に詳しい人を国防相にして、長期戦体制を整えただけです。基本路線に変更はありません。 ――スロバキア首相の暗殺未遂事件、これは大事件ですか? 佐藤 あれには国際的な背景がなく、国内問題に関連するテロです。だから、拡がりはありません。全体的な影響は与えないと見ています。 ――なるほど......。 佐藤 今までの質問のニュース自体が「付け焼刃」な印象です。そんなものを追いかけていても、ただのノイズですよ。 ――すみません。 佐藤 特にこの2年、「正しい/間違えている」ということを先行させて、そこから記事を書く風潮になっています。だから、あまり事実がどうなっているのかという点に、新聞記者は関心を向けません。 だから、「ロシアはどうせろくでもないから」「ろくでもないものなんだろう?」という話だけです。実際に何がどう動いているということには気にも掛けていませんよね。 ――最初から、色眼鏡で見ているから、本来の色が全く見えていないということですね。