千葉雄喜は親しみやすいまま大人になっている KOHH時代から一貫した“人生との向き合い方”
千葉雄喜とKOHHは何が“変わった”のか?
千葉雄喜の繰り出す言葉のMorning Pagesらしさは、KOHH時代そのままである。「チーム友達」における筆者の個人的なお気に入りは〈契り 契り/契ろう 契ろう〉であるが、それぞれにそれぞれのフェイバリットラインがあるのではないだろうか。身近な仲間たちと楽しくやっていくという単純明快なスタンスも、KOHHの1stアルバム『梔子』の頃から変わっていない。このスタンスが奏功してか、多くのラッパーがホップオンしており、『チーム友達 (The Remixes)』(2024年)に収録された公式のリミックスだけでもその数12に及ぶ。サウンドやダンスの面ではメンフィス発祥のジューキンを取り入れたことで、Duke Deuceまでもがこれに反応。こうした活躍がミーガン・ザ・スタリオンの目に止まり「Mamushi (feat. Yuki Chiba)」で共演したことも記憶に新しい。同曲もまた、キャッチーなダンスの振り付けと相まって、TikTokなどソーシャルメディアでバイラルヒットすることとなる。 本質的にはKOHHも千葉雄喜も変わらない。Morning Pages的な人生への態度と、それを反映したリリック、USのサウンドへの敏感な反応と乗りこなす器用さ、さらに音楽の枠を飛び越えた多方面での活躍。ただ、彼の一挙手一投足がこれほどまでに逐一大きなムーブメントを起こしている背景には、絶頂期で一度引退を経験してまた舞い戻ってきたことで、いっときは孤高の存在めいたオーラさえ発していたKOHHが、じつはみんなが想像していた以上に親しみやすい千葉雄喜さんだったことが明らかになった、ということも影響しているのではないか。そう、今年で34歳になった千葉雄喜は、KOHHの頃の勢いそのままに、けっこうないい大人になっている。その大人な雰囲気と親しみやすさそのままに、9月には昭和歌謡を思わせる最新曲「Jameson Ginger」と、自ら考案・監修した「梅しそおかき」までリリースしているのだ。そう遠くない未来、みんなの頼れるアンクルとして、日本語ラップ界のスヌープ・ドッグのようになっている千葉雄喜おじさんが、意外と容易に想像できてしまうのは、筆者だけではないはずだ。 ※1:https://youtu.be/QzQDjS5K1fU ※2:https://www.vulture.com/article/doechii-crazy-persuasive-profile.html ※3:https://youtu.be/DcFu0BDz4M8 ※4:https://www.instagram.com/p/C76TPWLyS75/
奥田翔