フジトランス、新造RORO船が就航。鹿児島・沖縄航路に
【中部】フジトランスコーポレーション(本社・名古屋市、系井辰夫社長)は7日、名古屋港ガーデン埠頭で新造RORO船「ふがく丸」(1万2818総トン)の就航披露を行った。最新の環境技術で省エネ性能を高めた同船は、9日から鹿児島・沖縄航路で運航し、完成車輸送やモーダルシフトによるトレーラー物流を担う。 ふがく丸は三菱造船下関造船所江浦工場で建造した。同船名3代目としてフジトランスコーポレーションが保有・運航する。航路は名古屋―豊橋―鹿児島―沖縄―名古屋。 全長165メートル、全幅27・6メートル、満載喫水6・75メートル、航海速力21ノットで、積載能力は乗用車1483台、シャーシ56台。8デッキのうちメインデッキをピラーレス(無柱)にして作業の安全性を向上し、荷役時の作業員やドライバーの負担を軽減している。 同社初採用となる垂直ステム(船首)やトンネル型船尾形状で推進抵抗を低減したほか、ばい煙飛散防止フィルターで出入港時のばい煙飛散も防止。1997年に竣工した2代目ふがく丸との比較で、燃料消費量・CO2(二酸化炭素)排出量の約30%削減が期待されている。こうした環境技術の採用で、国土交通省の「省エネ格付け制度」で最高の五つ星獲得も計画する。 陸上電力受電装置を備え将来、港側の供給設備が整えば停泊時のゼロエミッションも実現する。衛星通信サービス「スターリンク」も導入した。
今村孝雄常務取締役は、環境負荷の低い完成車輸送やトレーラー物流に期待を示す。モーダルシフトについては、「特に大手のお客さまは非常に敏感。陸上から船舶へ切り替える引き合いも来ている」と話し、今後さらに需要が伸びる見込みとした。 フジトランスは名古屋港をハブにした自社トレーラーの海陸一貫輸送で、一般貨物の遠隔地物流も展開する。 名古屋港利用促進協議会は同日、歓迎セレモニーを開き、ポート・オブ・ナゴヤ・アミティスタッフの長谷部優香さんが岩崎邦彦船長に記念品と花束を贈呈した。
日本海事新聞社