照ノ富士と貴景勝が同日休場 大関以上2人が同日に不戦敗は7年ぶり8例目の珍事
横綱・照ノ富士(32)=伊勢ケ浜=と大関・貴景勝(27)=常盤山=が夏場所2日目の13日に休場した。照ノ富士の休場は「左肋軟骨損傷と右変形性膝関節症」で2場所連続21度目で、横綱在位17場所では10度目。貴景勝は「頸椎(けいつい)椎間板ヘルニア」で3場所連続13度目の休場となった。貴景勝は再出場せず、名古屋場所(7月14日初日・ドルフィンズアリーナ)を9度目のカド番として迎える。幕内の取組では大関・豊昇龍が2連敗。新小結・大の里に土がつき、三役以上での勝ちっぱなしが消えた。 満員御礼の国技館にため息がこだました。結び前の貴景勝―豪ノ山、照ノ富士―大栄翔戦。呼び出しが「不戦勝」の旗を持って土俵に上がった。照ノ富士と貴景勝が同時に休場を決め、1横綱1大関が2日目で早くも離脱。大関以上2人が同日に不戦敗は、不戦勝制度が確立した1928年3月場所以降で8例目。2017年名古屋場所6日目の横綱・稀勢の里、大関・照ノ富士以来の珍事だった。 照ノ富士は「左肋軟骨損傷、右変形性膝関節症」、貴景勝は「頸椎椎間板ヘルニア」との診断書を日本相撲協会に提出。ともに約3週間の安静加療を要する見込み。照ノ富士は初日に大の里に敗れてから師匠・伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)と話し合った。同親方は「痛すぎて力が出ないと言っていた。せきでも痛い」と明かした。 2日の稽古総見で左脇腹を痛め、稽古不足が懸念されていた。同親方は「治っていなかったが体調が良くて本人が出たがった。ぶっつけ本番は無理だね」。休場は2場所連続21度目で横綱在位17場所では10度目だ。過去6場所で、皆勤は優勝した初場所のみでここ2場所は途中休場。安易に出場を決めたことも疑問符が付き、来場所以降はいよいよ進退問題が浮上しそうだ。 貴景勝は初日の平戸海戦で慢性痛の首を悪化。休場は3場所連続で13度目。師匠の常盤山親方(元小結・隆三杉)は「首は簡単に治らない。歯がゆいと思う」と代弁。再出場はせず、名古屋場所は9度目のカド番。「本人は名古屋場所に向けてやると言っている」と明かした。「やらなきゃいけない気持ちもわかるけど、我慢することも大事。治して出てこないといけない」と八角理事長(元横綱・北勝海)。昨年の初場所から夏場所は125年ぶりの1横綱1大関を支えた2人に、注文を付けた。(山田 豊) ◆元大関・琴風の目 結論から先に言おう。休場した照ノ富士と貴景勝は猛省すべきだ。本人たちは「うまく乗り切れればいいな」という気持ちで出場に踏み切ったと思う。それが初日にあっけなく負けて休場。しかも昨日の一番でけがをしたという白熱した相撲でもなかった。休場のつらさは痛いほど分かる。しかし、番付上位の力士はしっかりと自分の力を見極めて土俵に上がらなくてはいけない。万全の準備をして土俵でぶつけ合うのが相撲なのだ。照ノ富士の休場によって土俵入りもなくなった。フルコース料理を注文してメインが出てこないのと同じ。これではお客さんも興ざめしてしまう。(スポーツ報知評論家)
報知新聞社