日本初のフェアリングを纏った「CBX400F インテグラ」は先進の自動ウインカーキャンセルも装備
先端装備を多数採用!今では博物館クラスのレアリティに
CBX400Fはフェアリングをはじめ、先端装備を多数取り揃えていることも人気の理由のひとつだった。空冷DOHC4バルブ4気筒エンジンは専用の新設計で、独特の「X」形状のエキゾーストパイプは、CBの究極系であることを想起させるデザインとなっていた。足回りには世界初採用となるアンチダイブ機構(TRAC)を備え、インボードディスクブレーキも採用。スイングアームにも軽量中空アルミキャスト製を採用し、こちらも量産車世界初の試み。リアショックは先進的なモノショックで、エアサスペンション機構を備える。これらの装備は現代でこそ見かける機会が少なくなったが、当時は従来のオートバイのスタイルを一歩進めた、野心的な試みだったのだ。さらにインテグラでは、自動でウィンカーをオフにできる「方向指示器キャンセル機構」も装備。現在でも一部のハイクラスなツアラーにしかないこの装備を、2輪車で初めて装備した車両でもあるのだ。 当時はカワサキ「Z400FX」、スズキ「GSX400F」、ヤマハ「XJ400」など、各メーカーから直列4気筒の400ccネイキッドが繚乱しており、ユーザーも選びたい放題といえた。その中で最後発となったCBX400Fは、後発ゆえの先端装備と、市販車日本初の栄誉を掲げるインテグラのラインナップで、ライダーから高い人気を勝ち得た。その人気によって、発売から40年以上が経った現在、当時の新車価格が54万9000円であったインテグラは、400万円以上での取引が当たり前だ。目にする機会もなかなか得られないだろう。 東京都は青山のホンダウェルカムプラザでは、そんな名機の姿を間近で(かつ無料で!)じっくり目に焼き付けることができる。この車両は栃木県、「ホンダコレクションホール」の収蔵物で、不定期に入れ替えられる。これからも様々な名車を目にするチャンスがあるだろうから、ホンダファンはぜひとも、まめに足を運んでいただきたい。
西田 宗一郎