”自民過半数割れ”の立役者・上脇教授の告発「自民党は派閥だけでなく、全国で裏金作りをしているかもしれない」
全国で裏金作りをしている
――裏金問題、まだまだ尾を引きそうですね。東京都以外でも、自民党の県支部連合会(県連)の政治資金収支報告書に過少記載が見つかり、上脇教授は今年の10月に、政治資金規正法違反容疑での告発状を東京地検に提出してますね。 10月10日に(過少記載があった当時)石破茂衆院議員が代表を務める鳥取県連、小泉進次郎衆院議員が代表を務める神奈川県連を告発。さらに10月26日に森山裕衆院議員が代表を務める鹿児島県連と、丹羽秀樹衆院議員が代表を務める愛知県連を告発しました。 県連が各支部に交付金を出しているわけですが、その一部が収支報告書に不記載。受け取った支部は明らかにしているのに、なぜか出したほうは書いていないわけです。検察へは、その原資も記載されていないので、裏金が作られていることは間違いないと主張しました。 ひょっとすると、自民党は派閥だけでなく、全国で裏金作りをしているかもしれない。派閥と同じ手口が、全国の自民党の都道府県連で共有されている可能性はあります。検察は会計帳簿を押収するなどの厳正な捜査を行なってほしいと思います。 もしも、これが1つの県だけでなく全国のあちこちで行なわれていたとすれば、裏金問題の第三幕となるでしょう。
金で票を買う自民党
――裏金作りの背景にあるのは、なんでしょうか? 当選するために、金をばらまく実態があるのだと、私は見ています。河井夫妻選挙違反事件(参議院議員通常選挙での大規模な買収行為で逮捕)では、県議、市議を買収していました。 一般の有権者を買収すればすぐにバレてしまいますが、同じ自民党の県議、市議を買収して、彼らの後援会の票をまるごと獲得していました。政治資金規正法違反だけではなく公選法違反で未起訴され有罪となった堀井学・元議員は安倍派からの裏金を選挙区内の有権者に寄付していました。 ――最後に声を大にして言いたいことはありますか? 裏金問題で、不記載が4000万円以下の大物政治家は検察に起訴されていません。不起訴理由は起訴猶予ではなく嫌疑不十分にとどまっています。 まるで事前に金額で線引きをして4000万円以上は捜査を尽くして政治家まで起訴するけど、4000万円以下だと捜査を尽くさず政治家は嫌疑不十分で不起訴にし事務方だけを起訴猶予にするという方針があったかのようです。こんなことがあってはなりません。検察は法を守らない大物政治家に対し、腰砕けにならないでほしいですね。 取材・文/集英社オンライン編集部
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