〝リーゼントボクサー〟和氣慎吾、引退式で泣き笑い「42戦けがなく、無事にリングから下りることができたのは本当に奇跡」 ジム設立を発表
プロボクシングの元東洋太平洋、日本スーパーバンタム級王者で、9月に現役引退した和氣慎吾(37)=FLARE山上=の引退式が20日、DANGANジム主催興行で行われた。 元不良少年で、トレードマークとなったリーゼントの髪形を貫いた〝リーゼントボクサー〟だった和氣は試合と変わらないトランクスにガウン姿で、バンデージまで巻いて泣きながらリングイン。〝リーゼント仲間〟として親交のあるプロ野球・DeNAの三浦大輔監督(50)らから花束などを受け取った。 その後、「18年間プロボクサーとして闘って、引退式を迎えるなんて思ってもなく、今日を区切りとしてプロボクサー和氣慎吾を終えることができます。この18年間は人に感謝することしかできない18年間で、感謝という言葉しか出てこないです。42戦けがなく、無事にリングから下りることができたのは本当に奇跡で、ありがたいことです」などと涙をこらえながらあいさつした。 今後については「これからの僕の使命は、今までしていただいた恩を違う人たちに返していくべきだと強く思っています。プロボクサー和氣慎吾は今ここで終わりますけど、ボクシングに恩返しをしたい。そして、ボクシング以外は何もできないと思って、国立駅徒歩2分の場所にボクシングジムをオープンすることが決まりました」と東京都内にフィットネスのボクシングジムを設立することを発表した。 ゆくゆくはプロ加盟し、「プロボクサーを育てていきたい」と話し、「ボクシングジムを作るにあたって、多大なお金がかかるんで、クラウドファンディングやるんで、皆さんご支援の方をよろしくお願いします」と最後はちゃっかりと宣伝とお願いをし、笑顔で締めた。引退の10カウントゴングが終わると、場内は大きな拍手に包まれた。 岡山市出身の和氣は岡山商大付高卒業後の2006年に上京し、古口ジムに入門。同年10月にプロデビューし、13年3月に東洋太平洋同級王者だった小國以載(当時VADY)に10回終了TKO勝ちして王座を奪取した。5度防衛し、16年7月にIBF世界同級王座決定戦で初の世界戦に臨んだが、ジョナサン・グスマン(ドミニカ共和国)に11回TKO負けした。 FLARE山上ジムに移籍し、17年7月に再起すると、18年7月に日本同級王者だった久我勇作(ワタナベ)に10回TKO勝ち。21年11月にはWBOアジア・パシフィック同級王座決定戦で井上拓真(大橋)に判定負けした。今年8月に東洋太平洋同級王者の中嶋一輝(31)=大橋=に挑戦し、2回KO負けしたのが最後の試合となった。サウスポースタイルから繰り出す強打の左ストレートを最大の武器として活躍した〝拳闘番長〟に、第二の人生のゴングが打ち鳴らされた。プロ戦績は42戦31勝(22KO)9敗2分け。(尾﨑陽介)