プロ野球16球団構想への賛否
自民党の日本経済再生本部がまとめあげた成長戦略第二次提言案の中に、プロ野球の球団数を現在の12球団から16球団とする構想が盛り込まれていることが、唐突に発表された。新しく創設される4球団の候補地として、静岡県、北信越、四国、沖縄県などの具体名まで挙げられ、今後は、政府にこの提言が上げられ、アベノミクスの地域経済の活性化戦略の目玉プランになっていきそうな気配である。 日本経済再生本部の中で、どう議論されたかは不明だが、スポーツライターの二宮清純氏が、日本経済再生本部に対してブリーフィングした内容が、そっくりそのまま構想として採用された模様。メジャーリーグはエクスパンションによって球団数は増えて、日本でも福岡のソフトバンク、仙台の楽天、札幌の日ハムの3球団は、地域に根を下ろしたフライチャンズ戦略に成功している。ならば、フランチャイズの空白の地域に、プロ野球チームを創設すれば、プロ野球のさらなる発展にも、地域の経済活性化にもつながるのではないかという発想。静岡、新潟、愛媛、沖縄では、プロ野球の公式戦が開催されている立派なスタジアムがあって、改装を加えれば、ハード面で経費はかからない。 二宮案によると、16球団制となれば、おそらく新しい4球団をセ・パに2球団ずつ振り分け、8球団をメジャーのように西地区の、東地区の2つに分け、東西の対戦や、セパ交流戦も組み込み、それぞれの地区優勝決定戦から、ポストシーズンゲームに入っていくことになるという。名前の出た静岡市では、早速、田辺信宏市長がコメントを出した。「プロ野球地元球団創設構想を『まちみがき推進戦略プラン』に掲げ、推進している立場として『大きな一歩』と喜んでいる。今回の自民党提言案に『地元愛、地域愛高揚による地方の活性化』策として『プロ野球16球団構想』が掲げられたことは、本市が3年間地道に取り組んできた浜松市との交流戦やプロ野球トライアウトの誘致などの働きかけの成果だと思う」 静岡市では、3年前にプロ野球地元創設構想に関する基礎調査を実施して現在では、事業予算を組み、スポーツ復興課のホームタウン推進係が担当部署として草薙球場での12球団合同トライアウトの誘致や東京6大学オールスターゲームの開催などイベント事業を中心にサッカーに押され気味の静岡においての野球熱を高める取り組みを始めている。プロ野球の現場からは、楽天の星野監督が「賛成だ。縮小していたら成長はない。分配ドラフトなどのルールが整備されれば、手を挙げる企業はある」と賛同のコメントを出した。2004年のオリックス、近鉄の合併騒動時に、球団数の縮小、拡大の議論が盛んにされたが、今度は、政治家主導で拡大構想が動き始めることになった。では、この16球団構想は、実際に実現は可能な構想なのだろうか? 絵空事のプランではないのか。そこに何も問題はないのか。