プロ野球16球団構想への賛否
またプロ野球の現場サイドからの疑念の声も出ている。阪神のDCで評論家の掛布雅之氏は、「頂点であるプロ野球の世界が広がれば、その底辺も広がって野球界の発展につながる。16球団は、素晴らしい構想だが、冷静になって16球団で行われるプロ野球を考えてみると、私は野球のレベルの低下が心配だ」という意見。 「4球団が増えるとなると、300人前後のプロ野球選手が増える。ただでさえ、メジャーリーグに有力選手が流出してプロ野球のレベルは下がって、チームの軸の部分は外国人選手に頼らざるを得ない状況にある。スカウトからも、『本当にプロで通用する! これだ!という選手は、毎年、4、5人くらいしかいない』という話を聞かされたことがある。ドラフトから漏れていた逸材が、4球団が増えることで掘り起こされる可能性もあるだろうが、選手層が薄くなって野球のレベルは下がるだろう。マイナー組織が充実しているメジャーリーグでさえ、エクスパンションが導入されて球団が増えたとき、選手層が薄くなり野球のレベルが低下した問題がクローズアップされた。ファンは、お金を払って最高レベルの野球を見に来る。16球団に増えてプロとして、そういうファンの期待と願望に応えることができるのだろうか。プロ野球のレベルが下がると、メジャーリーグへの流出は歯止めになるどころか、逆に作用する可能性もある。やみくもに『賛成だ!』と手を挙げることはできない」。 新球団が生まれる際には、当然、分配ドラフトも行われるだろうが、そうなると、選手層が、全体にダウンするのは必至。掛布氏の意見は、現場から出てきて、もっともの声だ。アベノミクスに乗った自民肝入りのプロ野球の16球団構想は、今後、どう進展していくのだろうか。 (文責・本郷陽一/論スポ、アスリートジャーナル)