セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマート…各社の戦略に見る特徴と課題とは?
◎大手コンビニ戦略の特徴と課題 【セブン・イレブン】 売り上げと店舗数が最大手で、Seven & holdingの子会社となっている。アメリカから経営手法を導入した日本のコンビニの発祥でもある。典型的なドミナント出店で、店舗数と売り上げシェアを拡張してきた。 また、POSシステムの普及、物流システムの革新で先陣を切り、2000年代以降では、PBブランドによる差別化に力を注ぐ。2000年後期以降のPBは、セブンプレミアムと銘売って売り込み、これには、主婦と高齢者向けの商品が含まれる。一方で、地域住民の暮らしをサポートし、高齢者や働く女性へと販売のターゲットを移す。他のサービスには、高齢者の見守り、買い物支援、クリーニング、掃除サポートなどが含まれる。 また、2000年以降、原価15%のロスを本部が支払う方向に舵を切り、食品添加物を一掃したため、プレミアム商品は売り上げを伸ばした。OFCが機能し、本部のフランチャイズへのバックアップも働いている。POSによる単品管理が徹底し、企画面での仮説設定、実行、検証がなされ、未来志向、イノベーションの仕掛けが見られる。 【ローソン】 ダイエーの親会社体制から分離し、株式会社ローソンへと商号変更の経緯を辿っている。店舗数は3位であり、ターゲティング戦略で地域顧客を獲得している。また、商品開発では健康戦略で差別化を図っている。目玉商品としてからあげくんがあり、一部、廉価な惣采を扱っている。 生鮮食料品は野菜類も拡大している。他のコンビニと比べ、海外進出が遅れている。また、7つの支社で、支社長への権限委譲が行われ、地域に密着した経営戦略が見られる。2010年には多店舗経営オーナー、2011年にはグループ制も導入した。カード分析、ネットショッピングにも力を入れており、薬局併設などにも新展開が見られる。 【ファミリーマート】 西友ストアの実験店舗から始まり、独立して株式会社ファミリーマートとなった日本育ちのコンビニである。店舗数では第2位で、サークルKサンクスとの経営統合を経ている。経営統合により勢力を拡大し、一社完結でないのがビジネスの特徴ともいえる。 ファミリーマートコレクションと称されるように、比較的プライベートブランドが充実している。Tポイントカードとの連携で売り上げを伸ばし、2000年以降、加盟店の意識改革を図っている。基本商品に強みを発揮し、ブランディング活動を活発化している。比較的早くから海外展開をしており、海外店舗網も多い。最近では、多くのポイント提供会社と手を組んだファミペイで、事業の成果を出している。 しかし、主要な物流・情報の戦略、出店戦略、PB戦略は横並びで、どの大手も新規出店などによる成長には頼れない時代になっている。
塩見 英治