「医学部へ行くなら、医師になりなさい」という考えはもう“古い” …これからの時代の進路選択
「将来は医師一択」という価値観はもう古い
医学部に進学すれば、「医師になる」という直接的な選択で慢性的な医師不足を埋めに行くこともできますし、AIやロボといった他の手段で埋めに行くときのリソースに自分自身がなることもできます。もちろん、これら以外の選択肢を取ったってかまいません。すでに述べたように、医学部進学までに身につけたロジカルシンキングや忍耐力は他の業種にも通用します。すると、3つの分野に行く道が得られるので、人生の選択肢は相当広くなるはずです。医学部に進学する際はこのような発想も持ってみてはどうでしょうか。 もちろん、医学部に進学してからも、多大なる努力を続ける必要があるため、生半可な気持ちで進学するのはおすすめしませんが、「医学部進学=医師になる」という固定観念で大学受験の選択肢から外してしまうのは、少しもったいないように感じます。 このあたりの話を親が理解していないと、大学受験の際に固定観念がゆえに子どもの選択を反対することになったり、わが子のためを考えて医学部に進学させたあとでも、卒業後の進路選択について反対をすることになったりと、かえって子どもを不幸にしてしまうかもしれません。 つまり、子どもは医学部受験によってスキルセットが身につき選択肢が広がっているにもかかわらず、親が「おまえのことは医師にするために医学部に入れたんだ、だから医師以外の道はダメだぞ」と昔ながらの考えをぶつけてしまうと、結果的に「選択肢を持っている子ども」の可能性を狭めてしまうことになるわけです。 「医学部に行く以上は医師になってほしい」という気持ちを感情論として持っていることは問題ないと思いますし、子ども本人が望むのであれば医師一本で頑張ればいいと思います。ただ、今やこれからの時代を考えると、子どもが医師以外の選択肢を取ろうとした際には「そういう道もあるよね」「役に立つんじゃない」と応援してあげてほしいと思います。 森永 康平 金融教育ベンチャーの株式会社マネネCEO、経済アナリスト 1985年、埼玉県生まれ。明治大学卒業後、証券会社や運用会社にてアナリスト、ストラテジストとしてリサーチ業務に従事。その後はインドネシア、台湾、マレーシアなどアジア各国にて法人や新規事業を立ち上げ、各社のCEOおよび取締役を歴任。現在は複数のベンチャー企業のCOOやCFOも兼任している。日本証券アナリスト協会検定会員
森永 康平,医学部専門予備校 京都医塾