菊地吉正の【ロレックス通信 No.236】|廃番となった黒単色ベゼルGMTマスター II の“意外”に感じたその実勢価格とは
今回はGMTマスター II について書きたいと思う。ロレックス好きの方はご存じだと思うが、ステンレスモデルが2007年にベゼルのインサートがセラミックになったこのデザインが登場するまでは、スポーツ系のなかで最も人気がなかったモデルだった。 【画像】黒の単色ベゼルの細部を写真でチェック! そのためいまから思えば信じられないが、当時のRef.16710(2006年で生産終了)は量販店において安いと28万円ぐらいで売っていたこともあったほどだ。それがいまではGMTマスターのシンボルカラーである青赤ベゼル(通称ペプシ)の新品実勢価格は350万円以上。デイトナに次ぐプレミアム価格となってしまっている。 そんなGMTマスター II で今回注目したいのは2019年に廃番となった黒の単色ベゼルタイプ、Ref.116710LNだ。現在の現行ラインナップはすべて2色に色分けされたツートンベゼルのみとなっており、単色ベゼルは存在しない。 余談だが、現在のデザインにモデルチェンジしてから6年間ぐらいは黒の単色ベゼルのみのラインナップだったのだ。理由はセラミック素材にしたために、ひとつのインサートリングでツートンカラーを表現することが技術的に困難だったからと言われている。 それを克服したロレックスは黒青ツートンベゼルの通称バットマンを2013年にリリース。その1年後に青赤ペプシベゼルも復活。ただしホワイトゴールド製の高級ラインだった。そしてこのペプシベゼルも2018年になってようやくステンレススチールでの製品化が実施されるなど、ツートン化が加速した。
現デザインになる前のRef.16710の時代は、黒の単色、青赤ペプシ、黒赤ベゼル(通称コーク)と3種類存在したが、日本での当時の売れ筋は圧倒的に黒の単色ベゼルだった。つまり、あまり派手さを好まない日本人にとっては現デザインになっても黒は人気だったのである。ただグローバルで見るとセールス的にやはり圧倒的にツートンベゼルということなのだろう。現に同時に生産終了した黒青ベゼルのオイスターブレスタイプは、後に復活している。 さて、今回記事で取り上げるにあたってGMTマスター II の16710(~2006年)、116710(2007~2019年)、126710(2018年~)の3世代について中古の実勢価格をちょっと調べてみたところ以下のとおりである。 Ref.16710(黒ベゼル)生産終了→140~170万円(アルミベゼル) Ref.116710LN(黒ベゼル)生産終了→170~190万円(セラッミックベゼル) Ref.116710BLNR(黒青ベゼル)生産終了→220~240万円(セラッミックベゼル) Ref.126710BLNR(黒青ベゼル)→250~280万円(セラッミックベゼル) Ref.126710BLRO(青赤ベゼル)→350~370万円(セラッミックベゼル) 黒の単色ベゼルは同じタイミングで廃番となった黒青ツートンと比べると2割ほど安く流通しているようだ。ツートンにこだわらないのであれば一考の価値はあるのではないだろうか。 ちなみに2006年で廃番となった旧デザインのRef.16710であっても、青赤ペプシだと古い年式のものは軽く200万円超えとなるのでご注意を。 文◎菊地吉正(編集部)
菊地 吉正|パワーウオッチ、ロービートなど時計専門誌の発行人兼総編集長。時計ブランド「アウトライン」も展開。ロレックス通信連載